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zoom RSS 日常的癒し空間【ホテル・フィーブル】

<<   作成日時 : 2007/01/31 15:29   >>

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それはある日の午後のこと。
自分の家でスピーカーは悲鳴を上げた。
「イヤ〜!!誰よ、こいつ〜。」

目の前には布で頭と口元を隠した大柄な女性が1人、ぽっちゃり体型で立っている。
別に不審者とかではなく、等身大の鏡に映った自分の姿である。

「これは…もしかして…わたくしってば…」
もう1人の自分をまじまじと見て、受け入れたくない事実をあえて声に出す。

「太った?」

単語を言い放つと同時に、頭の中ではシナプスが活性化。思考があれこれとめぐる。
(サイズが縦に大きいのはもともとで、けっこう気に入っているから良いよ。凛々しい感じがするからね。でも、横は大きくなったらダメでしょう、横は。)

「これは、あそこに頼むしかないかも。」
ショックでフラフラしながら、そう1人ごちると、すぐさま部屋を飛び出した。
石造りの建物の外、強い日差しの中を、全力疾走でホテル・フィーブルに向かう。

海の近くに位置するこのホテルは、最近出来たばかりなのだが、少し離れたところにある臨海タワーと共に、藩国外からのお客をもてなすために一役買っている。

『世の中には、人・猫・猫士の数以上に、無限ともいえるニーズが存在する。当ホテルは、それらを満たし尽す最後の一瞬までサービスを追求し続けるものであるぅ!』という、壮大で無茶な創立者の信念のおかげで、ここの滞在者は何不自由することがない。
もちろん国民が日常的に利用できる施設もあって、その中でも何種類もあるレストランはどこも人気で、いつでも大賑わいなのである。

「それでいてお手頃価格なのよね。頭がさがるわ。」
ニュースで見た完成式典の様子と、ミなんとかという女性アナウンサーの解説を思い出しながら、そびえたつホテルを見上げて息を整える。
汗をぬぐいながら、入り口から豪奢なロビーを抜け、フロントへ行く。

「すみません。減量希望なんです…」
周囲の人には聞こえないよう、こっそりと告げるスピーカーに、壮年のフロントスタッフはしごく真面目に対応した。

「お客様、当ホテルは、併設レストランにおいて、精進料理や薬膳はもちろんのこと、食事療法専用の特別セット・リバウンド防止&どか食い専用超低カロリー甘味各種を召し上がっていただけます。加えてホテル内施設では―」

「宿泊を一ヶ月お願いします!」
背筋をまっすぐに伸ばしたスタッフの丁寧な解説をぶった切って、用件を伝える。
長い長い説明も、既に何度も聞いて暗記してしまっていた。

「それは特別パックをご希望、ということでよろしいでしょうか?」
間髪入れずに、的確な答えが返ってくる。
自分達が働く場所以外の知識や、行う作業の情報を正確に把握し、『減量』『一ヶ月』という数少ない単語からも、こちらの要求を得心できるのが、このホテルの従業員のすごいところだ。

ちなみに特別パックとは、ホテル・フィーブルオリジナルの美容に特化された宿泊プランで、【ホテル内エステサロン・スパ・スポーツジムのパスチケット】付き【栄養士監修の一ヶ月食生活改善コース】と、【痩せるまではお代いりませんコース】がセットになったものである。

「そうです。あ、宿泊客の二割引価格って、まだ変わってませんよね?」
「はい。そのままでございます。」
「じゃあ、それで。」
「かしこまりました。お部屋をお取りしますので少々お待ち下さい。」

「お部屋がご用意できました。」
スピーカーの必死な形相の先で、担当者は優雅に一礼すると、にこやかに微笑んで言った。
「ご利用ありがとうございます。お客様のためのホテル・フィーブル、全総力をもちましてご要望にかなうサービスを提供させていただきます。御用の際には、なんなりとお申し出下さい。」

        *        *        *

一ヵ月後。
すっきりつるるんなスタイルになったスピーカーは、改めて『ホテル・フィーブル最高!絶対オススメ。もう大好き。』と思ったし、ついでに彼女の職場の上司・仲間も『ホテル・フィーブルって凄い!さすが!!』と絶賛するようになっていた。
それというのも、遅刻女王のスピーカーが、ホテル滞在中は強力なモーニングコールによって、遅刻をしなかったからである。

とにもかくにも、ホテル・フィーブルは、今日も観光の要として、他の藩国からの訪問者と国民を満足させ、美容と健康と心の平安を保ちたい人々の強い味方になっているのだった。

(書いた人:スピーカー)

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フィーブル藩国/国立図書館
2007/02/06 21:20

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