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zoom RSS リレーSS/第2回

<<   作成日時 : 2007/02/01 19:59   >>

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 ……しまった、これは罠だ!

 執務室に入った直後、反射的に戯言屋はそう思っていた。
 厄介事の気配を感じながら、とりあえず笑顔で対応してみる。

「ええと。どうなされました、藩王殿?」
「暑い……すごく暑いです……このままじゃお仕事できませんよー」
「はあ。わかりました。では少しお待ち下さいませ」

 退室する戯言屋。すぐに戻ってくる。
 手には水の入ったコップ。氷入り。

「どうぞ」
 渡されたコップを受け取って、ごくごく飲むフィーブル。
 全て飲み終えると、はあー、と満足そうに息を吐いた。

「では、藩王殿。資源問題の解決案についてですが………」
「って違うよ戯言屋さん! そうじゃなくて、フィーブル藩国全体の暑さのことを言ってるの! 少し前とは環境が全然変わっちゃったから、もう暑くて暑くて毎日大変なんだよ!」

 なにやら間の抜けた表情を浮かべる戯言屋。

「あー、ええと。扇風機を持ってこいということでしたら、すぐにでも……」
「そうじゃないってば! あ、でも扇風機は持ってきて下さい。大至急。藩王命令」

 退室する戯言屋。すぐに戻ってくる。
 扇風機の風を受けながら、フィーブルは拳を握り締めた。

「この環境の変化で、国民も困っているんじゃないかと思うんだ」
「確かに。暑いとみんな大変かもですねえ。なぜか今まであまり意識してませんでしたが」

 まあ、ver0.6からver0.7への変化が、ゲーム設定的にはどういう感じだったのかとか、PCからすればいきなり環境が変わったように見えたのかなどは、とりあえず全部置いておくとしよう。フィーブル藩国は海は近いが砂漠も近い。確かに暑いことは暑いだろう。

「……そこで、フィーブル藩国を涼しくして欲しいんです」

 また無茶なことを言い出したなあ。素直にそう思う戯言屋。
 しかし、ここで『無理っす』と言うのもまずい。とりあえず笑顔を浮かべてみる。

「はい、わかりました。それでは、今後のアイドレスの………」
「今後のアイドレスの派生に、緑地化イベントがあればそうしましょう、などと、まさかそんなつまらぬことを言い出すのではあるまいな? 戯言屋よ」

 威厳たっぷりの声が響いた。
 戯言屋がそちらを向くと、暑さでバテてぐったりしている猫がいる。
 王猫パーカー。フィーブル藩国で、実質的にフィーブル以上の権力を持つ王猫だった。

「……ま、まさかー。緑地化イベントあるのって、今のところ理力建築士だけですしね」
「ふっ。そうであろうな。ならいいのだが。もしそんな悠長なことを言い出していたのなら、お前を解任しようかと考えていたところだ」

 そのセリフだけで、もう充分に涼しくなった戯言屋である。
 あと、かなりメタな会話をしているが、あまり気にしてはいけない(笑)

「戯言屋よ。フィーブル藩国を涼しくするのだ。わかったな?」
「……了解しました。では、少しばかりの猶予を頂きたいのですが……」
「いいだろう。では行け。資源問題についてはそれが終わり次第だ」





 執務室を出て、戯言屋は長い廊下を歩いている。
 さて、どうしたものだろうか? 真面目に考えてみよう。

 フィーブル藩国の環境そのものを変えるのは、まず物理的に不可能である。
 あっても時間のかかる手段だろうし、それに藩国設定を変えるのもゲーム的に無理だろう。
 悲しいけど、これってイベントじゃなくてただのリレーSSなのよね。である。

 ……なら、国民を涼しくするのはどうだろうか。

 王は、民のためにあるべきであり、そして民の上に立つならば、誰よりも苦労すべきである。
 だから国民達から「最近は涼しいですね」とかいう報告があれば、王も暑さに耐えることだろう。
 さらに言えば、住んでる人が涼しいと言っているなら、いくら暑くても関係ないという話である。
 国民が涼しいと言う=王も涼しいと言い出す=フィーブル藩国は暑いけど涼しい。である。

 ……うむ。我ながら戯言というか屁理屈というか。
 ……とりあえず、この路線で行ってみますか。





 というわけで、さっそく下準備をする戯言屋である。
 まず、華族権限を使って(いるように見せかけて実は何の法的効力のない)書類を作成する。
 3ページの書類を作ってホッチキスで簡単に留めた。内容は以下の通り。



○はじめに(1ページ目)

1:この書類を読み始めた者は、この書類を破ったり捨てたり見なかったことにしてはいけません。
  もしそのような行為におよんだ場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。

2:この書類を読み始めた者は、藩国の定めた納涼計画に参加しなくてはいけません。
  もし納涼計画に参加しなかった場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。



○納涼計画について(2ページ目)

1:まだ納涼計画を知らない国民の誰かを、涼しくして下さい。
  特に方法は問いませんが、必ず、相手に「涼しい」などに類する発言をさせて下さい。
  この時、絶対に、納涼計画について相手に話してはいけません。

2:相手に発言させたら、この書類の3ページ目に、自分の国民名とコメントを記入して下さい。
  必ず相手を涼しくさせてから、国民名とコメントは記入して下さい。相手が「涼しい」などに
  類する発言をしていないのに記入したり、実際に相手を涼しくさせていないのに、「涼しい」など
  に類する発言だけさせて記入するなどの行為におよんだ場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。

3:相手をちゃんと涼しくして、「涼しい」などに類する発言をさせて、3ページ目に記入が済んだ
  その時点で、その人の納涼計画ノルマ終了です。今度は「涼しい」に類する発言をした相手に
  ノルマが移動しますので、必ずこの書類を渡して読ませてあげて下さい。
  この書類の所有権も、その時点で相手に移ります。

4:ほとんどの国民が納涼計画に参加してノルマを達成したようなら、
  最後にこの書類を所有している方は、戯言屋まで届けて下さいませ(笑)

5:なお、あえて難しい方法で、相手に「涼しい」に類する発言をさせた場合、
  フィーブル藩国から素敵な豪華プレゼントが用意されます♪



○納涼計画参加者コメント(3ページ目)

 (白紙)



 さて、あとは戯言屋がスタートを切ればいいだけである。
 適当に誰か国民を見つけて、涼しいとか言わせて書類を渡せばいい。
 あとは国民達が、うまくやってくれるだろう。

 というわけで、外をうろつく戯言屋。
 誰かと出会わないかと、うろうろ散歩してみる。
 ちなみに戯言屋、この暑いのに黒スーツに黒眼鏡の怪しい格好である。

 ……そして視界に、自分よりもっと奇妙な姿の男が飛び込んで来て、戯言屋は吹き出しかけた。

 ジーンズに白シャツ。丸で黒のサングラス。ハゲ(かつら?)で草履という格好の男。
 周囲の視線を釘付けにしながら、でかあさが歩いてきたのである。
 ハゲ(かつら?)を燦然と輝かせながら、悠々と歩いてきた。

「あら、こんにちは。戯言屋さん」
 笑顔のでかあさ。ちなみに今日は化粧はせずに、日焼け止めを塗っているらしい。
「こ、こんにちは、でかあささん」

 戯言屋は何かを堪えている。頑張って堪えた。
 そして堪えきってから、ふと思案顔になって考え始める。
 とりあえず最初は、でかあささんから始めようか。涼しいと言わせればいいだけだし。

 だが、しかし。

「……ある意味、難易度高いなあ……」
「どうしました?」
「いえ。ええと実はですね。少しお話がありまして。喫茶店でお茶でもどうでしょうか?」
「あら? いいけど。どうしたの急に?」
「いえいえ。あははは」 

 なにやら嘘臭い笑みを浮かべる戯言屋。
 例のパーティ以来、戯言屋に嫌われていると思っているでかあさは、かなり不審な様子である。

「どうしましょうか? なんなら奢りますけど?」
「ま、いいわ。何処か紅茶の美味しい所でお願いね」
「はい。わかりました」

 戯言屋は、にっこりと笑った。





 フィーブル藩国ではそこそこお馴染みの、街角喫茶店。
 戯言屋とでかあさの二人は、窓際のテーブル席に座っていた。

「あ、少し席を外しますが、先に注文していて下さいませー」
「そう?」

 戯言屋は席を外すと、さっそく喫茶店の奥に勝手に侵入した。
 といってもすることは大したことではない。店内のクーラーを操作して、風速最大、温度最低の設定にしただけである。
 やや操作に手間取ったが、なんとか操作完了。しばらくクーラーが店内を涼しくするのを待ってから、なるべく不自然さのないような感じで、でかあさのいるテーブルに戻った。

「あら。お早いお帰りね」
「うわ! なんだこれは!?」

 不自然なのは、テーブルのほうであった。
この喫茶店のメニュー全て2巡分の食事やら飲み物やらが、所狭しとテーブルの上を占領していたのである。
 無論、でかあさの注文であった。戯言屋がなにか企んでいることに気付いての行動である。

 だんだんクーラーの風が強くなっていく。涼しいよりも寒くなってくる店内。
 しかし、でかあさはクーラーなど意志に関せず、温かいメニューから次々と食事を進めていた。
 どうやら食事を凄い勢いで食べているので、体温も上がっているらしい。恐るべしである。
 とりあえず席について、同じく食事に手を伸ばし始める戯言屋。

「……しかし、最近は暑いですねえ」
 涼しいと言わせようとして、そんなセリフを言ってみる戯言屋。
 しかし、戯言屋に目をやりながらも、気にせずでかあさは食事を続けた。

 ものすごく冷たい風が、室内で吹き荒れる。

「……そ、それにしても、砂漠のすぐ側というのは、どう思います? やっぱり、こう暑いと厳しいですよねえ?」
 なんとか涼しいと言わせようとして話題を振る戯言屋。寒さで少し歯が震え始めている。
 この言葉に、でかあさの反応はあっさりしたものだった。

「そうね。でもそれも風情という物でしょう?」
「そ、そうですね。はは、ははは」

 引きつりながら笑うしかない戯言屋。
 店内の温度は、もはや酷いことになっている。砂漠どころか店内が凍り付きそうな勢いであり、でかあさは今日は薄着なので、かなり寒いはずなのだ。肌の色が白くなっていく感じなのだが、しかし、そんな素振りはまるで見せなかった。それどころか最後のデザートに、自分は餡蜜を、戯事屋にはカキ氷を押し付ける。

「さて、これで最後ね」
「ど、どうも………」

 しゃりしゃり、とかき氷を食べ始める戯言屋。
 一口食べては泣きそうになっている。

「暑いっていうから。是非涼んでね?」
 にっこりと笑うでかあさ。
「……でかあささんは、どうですか? 涼しいですか?」
 半ベソの戯言屋。

「ん、食事のお陰でちょっと体が暖まってきたかしら?」

 でかあさは、肌を真っ白にしながらそう言った。
 その言葉を聞いて、戯言屋は精神的に降参。ばったりとその場に倒れた。





 小一時間後。

 とりあえず店内の温度は、喫茶店のマスターによって元に戻された。
 戯言屋はマスターに怒られて、食事は終了。さて、ごちそうさまである。

「ううう……どうでしたか、食事は? ……美味しかったですか?」
「ええ、とっても。さすが摂政。良いお店を知ってらっしゃるわ」
「あははは。で、では、これにて………くすん」

 にっこり笑うでかあさに、ふと思い出したように戯言屋は尋ねる。

「ええと、支払いは……」
「あら、それをアタシに聞くの?」

 戯言屋。記録的な敗北。
 るるるー、と目幅の涙を流した。

(ホントに、もう少し手の込んだ事しないと駄目よね〜)
 すっきりとした顔で、喫茶店から出るでかあさ。
(だってアタシ達の身に危険になるような手を使わないの、こないだのパーティーで判ったしねぇ)

「摂政? 今度また機会がありましたら、お食事、誘って頂けたら幸いですわ」

 あくまで笑顔で笑顔のでかあさに、
 戯言屋はぐったりした顔で、とりあえず、頷いた。





 かなり財布を空にした戯言屋。
 喫茶店を出て、蒸し暑い昼過ぎの太陽の下を歩いていた。

 なにやら酷く疲れた様子である。というか、選んだ相手が悪かったという感じだが。

「……もっと普通に涼しくすれば、それで良かったような……」
 策士、策に溺れるの例を、地で行っている戯言屋であった。
 などと反省しながら適当に歩いていると、気付いたら海に来てしまった。

 波の音が心地よい、王城近くの浜辺である。
 遠くのほうで、貝殻探ししている老人と子供などがいる。
 
「こんにちは、戯言屋さん。お暑いですね〜」
 その声に視線をやると、浜辺の木の木陰で涼んでいるスピーカーが、そこにいた。
 スピーカーさんなら、と呟く戯言屋。さっそく近寄ってみる。

「こんにちは、スピーカーさん。今日も暑いですねえ〜」

 スピーカーは、戯言屋の黒い服がなんかもう熱吸収しまくって暑苦しいな〜、と思った。
 戯言屋は、スピーカーさんなら、でかあささんよりはマシなはずだ、と思った。

(……よし! 今度は正攻法で行こう!)

「ええと、スピーカーさん」
 なんだろうと身構えるスピーカー。

 どこからともなく、うちわを取り出す戯言屋。
 天狗の持ってそうなのではなく、どこにでも売ってそうな普通の団扇だ。
 うちわには、『毎日がエブリディ』とか、変な言葉が大きく書いてあったりする。

 なんだろうと身構えていたスピーカーは、いきなりのうちわに脱力した。

「あ〜、雑用係に転落なのね〜 毎日エブリデイあおげば〜 尊し〜 和菓子の怨はらさでおくべきか〜」
 というか、あまりの展開にスピーカーは自分の世界に突入したり(笑)

「いやいや、転落してませんしてませんから。スピーカーさんー、おーい、戻ってこーい」
 遠い目をして、浜辺の子供と老人を見ていたスピーカー、ふと我に返った。

「あ、はい。聞いてます。転落しなくてクビなんですね」
「いやいやいやいや。クビじゃないですクビじゃないですから」
「そうなんですか? よかった〜」
 このまま働いてればお金でなんとかなるんだよ、独りの老後は寂しいかも?
 ……という心配ごと解決! とか思うスピーカー。

「ええ。クビになりかけはしましたが……とと、そうそう。実はですね」
「はい。なんでしょう!」
 急にハイテンションになって返事するスピーカー。
 うーむ、ある意味難易度高いかも。とか思いつつ戯言屋は行動に出た。

 ぱたぱたぱたぱた……

 と、うちわをスピーカーにあおぎ始めた。
 スピーカーに空気が送られる。

 ぱたぱたぱたぱた……

「どうですか?」
「いい風です〜。なんか、すみませんね」

 ぱたぱたぱたぱた……

「そうですか。最近、暑いですからねえ〜」

 ぱたぱたぱたぱた……

「えっと〜?」

 ぱたぱたぱたぱた……
 あおぎ続ける戯言屋。

「なんか申し訳なくなってきました。もういいですよ?」
 というか、何か企んでるんじゃないか? と思い始めるスピーカー。
 どうでもいいが、この戯言屋、絶望的な演技力である。

「はは、まあまあ。少しは涼しくなりましたか?」

 ぱたぱたぱたぱた……

「そうですね。涼しくなりました」

 海風とダブル効果になったこともあって、そう発言するスピーカー。
 ぴたり、と戯言屋は、あおぐのを止めた。

「しばしお待ちを」 輝く笑顔の戯言屋。
「すみま──じゃなくて、ありがとうございました。って、え?」

 いつもの癖ですみませんと言いそうになり、言い直そうとしてからきょとんとするスピーカー。
 戯言屋は、いきなり走り出した。きょろきょろして、平らな場所を見つけると、なにやら書類らしきものを取り出して、ペンで記入している。

(あ〜、何か考えついたんだ。お仕事かな? そういえば、戯言屋さんっていろいろのデータ集計やらまとめやら、いっつも働いてるイメージだなぁ。お疲れさまです。頑張れ〜!)

 とかスピーカーが思っていると、戯言屋が戻ってくる。
 なにやら、すごく笑顔である。

「実はですね、スピーカーさんにプレゼントがあるんですよ。はい、これ。どうぞ♪」
 例の書類を渡されるスピーカー。すごく不思議そう。

「ぷれぜんと? あの、タダでいただけるものはいただきますけど〜 これは?」
 とりあえず1ページ目を読み始めるスピーカー。



○はじめに(1ページ目)

1:この書類を読み始めた者は、この書類を破ったり捨てたり見なかったことにしてはいけません。
  もしそのような行為におよんだ場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。

2:この書類を読み始めた者は、藩国の定めた納涼計画に参加しなくてはいけません。
  もし納涼計画に参加しなかった場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。



「あ〜。なんかおそろしい文章が見えます……」
 スピーカーのコメントに、小悪党の戯言屋は口笛を吹いている。
 少し考えてから、2枚目を読むスピーカー。



○納涼計画について(2ページ目)

1:まだ納涼計画を知らない国民の誰かを、涼しくして下さい。
  特に方法は問いませんが、必ず、相手に「涼しい」などに類する発言をさせて下さい。
  この時、絶対に、納涼計画について相手に話してはいけません。

2:相手に発言させたら、この書類の3ページ目に、自分の国民名とコメントを記入して下さい。
  必ず相手を涼しくさせてから、国民名とコメントは記入して下さい。相手が「涼しい」などに
  類する発言をしていないのに記入したり、実際に相手を涼しくさせていないのに、「涼しい」など
  に類する発言だけさせて記入するなどの行為におよんだ場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。

3:相手をちゃんと涼しくして、「涼しい」などに類する発言をさせて、3ページ目に記入が済んだ
  その時点で、その人の納涼計画ノルマ終了です。今度は「涼しい」に類する発言をした相手に
  ノルマが移動しますので、必ずこの書類を渡して読ませてあげて下さい。
  この書類の所有権も、その時点で相手に移ります。

4:ほとんどの国民が納涼計画に参加してノルマを達成したようなら、
  最後にこの書類を所有している方は、戯言屋まで届けて下さいませ(笑)

5:なお、あえて難しい方法で、相手に「涼しい」に類する発言をさせた場合、
  フィーブル藩国から素敵な豪華プレゼントが用意されます♪



「というわけなんです。すみませんねえ、まるで騙すようで」
 とか言いながらも、かなり笑顔の戯言屋。一度失敗しているので、かなり嬉しいらしい。

「あはははは」
 抵抗して空笑いするスピーカー。3ページ目を読む。



○納涼計画参加者コメント(3ページ目)

 戯言屋:「スピーカーさん、ありがとう♪」



「……というわけで、頑張って下さい。応援していますので。あ、スピーカーさんが誰かを涼しくしたら、この書類はその人に渡してあげて下さいねー」

「そうですね〜」

 スピーカー、書類をすみからすみからすみまでもう一度見る。
 そして、にんまりと笑った。

「ねえ、戯言屋さん!」
「どうしました?」
「ノルマが移動したってことは、現時点からこの書類と計画の実行はわたくしが管理するんですよねえ?」
「ええ、そうです。ただ、誰かを涼しくした時点で、その管理はその涼しくした人に移動します」
「で、ここに書いてある内容が決定項なんですよね。」
「まあ、そうなりますです。はい」

 きょとん、としている戯言屋。
 スピーカーは再び、にんまり。

「これ、期限が書いてないです」

「………………………………………………はっ!」

「今週中とか今年中とか」
「えっと、ええと………」

 あたふたし始める戯言屋(笑)

「ということは、わたくしが、い・つ・か計画を実行すればよろしいんですわよね?!
 それが、たとえとお〜い先の、あの老人のようの懐かしく海を見る日であっても!」

 ちょうどその頃、浜辺にいる老人が、懐かしそうに海を眺めていたりする。
 さて、戯言屋。どうしたものかと考えて、ちらりとスピーカーさんを半分涙目で見た。

 ……仕方がない。仕方がないよな。とほほ……

「では、スピーカーさん」
 なにやら泣きそうな表情で、財布を取り出す戯言屋。
 一方、戯言屋が財布を取り出したのを見て、

(やった〜! なんか重箱の隅をつつくのに成功したよ!)
 と内心ではしゃぐスピーカー。

「その書類、少し書き直させて下さい。 ……このホテル・フィーブル半年無料宿泊券を差し上げますので……」

「はぅ!」

 なにやら損得もろもろをいっぱい考えてから、スピーカーは決断する。

「……いいですよ」
「ありがとうございます〜」

 というわけで、交渉成立。
 戯言屋は音速で例の書類に、期限に関する項目を付け足した。
 そして、スピーカーは、ホテル・フィーブル半年無料宿泊券を手に入れたのであった。

 策士、策に溺れるどころか沈んで浮かんで来ない勢いの戯言屋。記録的な大敗北である。
 いつか堪能しようと思っていたホテル・フィーブルの生活を想って、ふと涙を流した……

「うふv 思わぬところでいいものもらった〜。騙された感じが嫌だっただけで、納涼計画自体は大歓迎なのよね〜」
 ホテル・フィーブル半年無料宿泊券を大事そうに持ちながら、はしゃぐスピーカー。

「戯言屋さん、ホントすみません〜」
「……企みごとはうまくいかないなあ。もう当分やるまい。今日はこんなんばっかりだし……」
「あ、じゃあ交渉成立の証にこれどうぞ」
「おや?」

 スピーカーは、海辺で拾った小さくてキレイなものを、戯言屋に渡した。
 貝殻ともガラスの丸くなったのともいえない、割とキレイな塊である。

「おおー」
「わたくしの、対戯言屋企み見抜いちゃったぞ記念なので」

 にっこり笑うスピーカー。
 かなりステキとも言えなくもない笑顔。

「これを見るたび、歯軋りして悔しがって下さいねv」
「了解ですー(涙) これに誓って、当分は企み事やりません。……あとがとうございました」

 というわけで、ぎゃふんな感じの戯言屋の一日であった。
 納涼計画はどうなるのか? とりあえず、スピーカーさんの活躍に注目である。

 → スピーカーさんに続く





(追記1:なお、この文章のでかあささんとスピーカーさんの部分は、実際にロールしてもらったものです。ご協力ありがとうございました♪)

(追記2:○納涼計画について(2ページ目)に以下の文章を追加)

6:この納涼計画に参加した場合、三日以内に誰かを涼しくさせて、その人を納涼計画に参加させて下さい。
  なお、三日を過ぎても誰も涼しくできなかった場合、恐ろしい罰が行われます。御注意下さい。

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