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zoom RSS 戯言屋の食料増産計画

<<   作成日時 : 2007/02/06 20:43   >>

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 フィーブル藩国は、砂漠と海の間にある藩国である。
 戦闘前の大規模な食糧増産命令に、フィーブル国民達はいろいろ仕事したり、なにかいいアイデアはないのかと考えていた。

 へぽGSによって配給制が開始されたのを確認した戯言屋は、華族権限を使って、部下の猫吏族達にいろいろと確認作業や事務仕事をさせているのであった。

「……この配給制で、国民のみんなはどんな感じでしたか?」
「特に問題はありません。さすが歴史的には何度も戦争をやってきた藩国ですし。
今が無理のしどころだってみなさん言ってました」
 あっさりした部下の猫吏族の報告に、むしろ戯言屋は目を細めた。

「特にこれといった苦情もない?」
「はいです。ここはフィーブル藩国ですから♪」
 その言葉に、胸を刺されたように顔を歪める戯言屋。
 感動しているわけではない。むしろ、それは恐怖に近い感情だった。

 未熟な戯言屋は、それをなんというのか、知らない。

 国民から食糧を集めて、配給制にして、一時的な国庫の増加を狙っても、そんなものは長くは続けられない。結局は時間が経てば経つほどフィーブルの民が、それも子供や女性やお年寄りから飢えていくことだろう。

 そして最大の問題は、それを理解していて、なおかつ笑顔で「いいよ」と言ってしまう国民達だった。

 ……心配そうにこちらを見ている猫吏族に、戯言屋は気付いた。

「どうしたんですか? どこか痛いのですか?」
「いえ。今日は忙しくて日記を書くのが遅くなりそうだと思ったんですよ」
「なんだあ。そうだったんですかー。驚かさないで下さいよー」
「ははは。いや、習慣化しつつあるんで、つい」

 そう曖昧に笑ってから、のんびりと考え始める。
急がねばならないが、慌てることはない。今すぐ誰か飢えて死ぬわけではない。
 まだ配給制にしたばかりなんだ。そう自分に言い聞かせる。

 だから、のんびりしなければ。
 柔軟な思考など、感情的になっては決して生まれない。

 へぽGSさんの考えた配給制は、確実に効果を生むだろう。
これで国の保有食糧は上がる。一時的には。それ以上を狙うなら、どうする?
 元々フィーブル藩国の食糧自給率は少ない。これ以上の負担は国民には無理だ。
 何か少しでも、食糧の増産の手助けを出来るようなことは、ないのか?

「……太陽電池を設置するのは、どうかな?」
「ああ、いいですね。なにせうちは砂漠で、しかも機械技術は優れていますし。
それで太陽光発電で得た電力で、どうやって食糧増産をするのですか?」

「海水の淡水化施設に回しますよ。あの施設、かなり電力が要るはずなので」
「ふむむ。確かに水は農業にも飲料水にも要りますからねえ。じゃあ、さっそく私はその方向で動いてみますー!」

 ばたばたと忙しそうに駆けていく猫吏族。
 戯言屋はそれを見送ると、今度は別の猫吏族を呼びだした。

「どうかしましたのでー?」
「……魚の養殖が出来ないかなと思ったんだけど、どう思います?」
「ええー? 今から養殖ですか? 時間とかかかりません?」
「時間がかかるのは農業と同じですよ。今からやっておいても遅くはないです」

「それで、具体的にはどんな感じでやるので?」
「……豊富な日光と海水で藻類を作るとか。そのあたりからどうでしょう?」
「ははあ。海苔とか昆布とか、ワカメを作るんですかー?」
「まあそれもいいですが、同時に、その藻類を食べる魚も養殖するんですよ。
さらに、その魚の排泄物が藻類の栄養になるようにできれば最高なんですけどね」

「なるほどー! んー、でもなんか面倒くさそうですー」
「ああ、でしたら海岸付近に植林してマングローブを作って、風と波に注意しながらこつこつ生態系を作るあたりの仕事でもやってみますか? どっちがいいです?」
「とっ、とりあえず養殖の専門家を集めて意見を聞いてみますー!」
「はいはい。お願いしますねー♪」

 なにやら逃げるように走っていった部下の猫吏族。
 戯言屋は、また別の部下の猫吏族を呼びだした。

「うっすー! なにか御用でしょうかー!」
「いえ、他になにか食糧増産の方法はないか、意見を聞きたいと思いまして」
「うお! 光栄です! 頑張って考えるっす! そうですねえ………」
 なにやら元気のいい猫吏族は、腕組みして考える。

「単純な話、労働者を増やせば、食糧を増やせられると思うっすー!」
「……農業や漁業に、ですか? 一概にそうとは言えないと思いますが……」

「確かに新人の育成には時間がかかりますし、組織内で急激に人員の増加してしまうと足並みも乱れてむしろ不効率になることはあると思うっす! ですが、この藩国ではみんながみんな互いに協力して今までやって来れました! 問題はないかと思うっす!
そして、何かしたいのに何も出来なくてウズウズしている国民というのは、必ずどこかにいるはずっす! 自分も猫吏族になる前まではそうでした!」

 戯言屋は、笑った。

「では自分も手伝いましょう。それと、正式に国民に募集を」
「はい! 自分も手伝うっす! 有志を募るっす! みんなで協力っす!」
「新人達の足並みを整える手筈も付けましょう。あと農業と漁業の代表者に連絡を」
「了解っすー!」

 こうして、地道な労働者の募集が始まった。
 結局のところ、戯言屋にはいきなり名案が浮かぶような知恵も無かったので、こういう地味な作業で、そこそこ確実な効果を期待するしかなかったのだ。
 そして、それが正解なのかどうかは分からない。それは歴史が証明するだろう。

 しかし、まあ。

 この藩国にやって来たのは正解だったなあ、と。
 労働希望者が予想以上に集まったのを知って、戯言屋は思った。

 (文:戯言屋)

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