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zoom RSS サイ=コーデルフィアの食料増産計画

<<   作成日時 : 2007/02/06 20:53   >>

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サイ=コーデルフィアは書類を持って潮騒の町並みを走り回っていた。
彼が書類を持って走るなんて事は…空から槍が降ってくるくらい珍しいことである。
なぜ彼が走っているのか?……時は本日の朝頃にさかのぼる。

戦時下のフィーブル王国、近々迫る戦いに彼は身の鍛錬を欠かさず行っていた。
志望はパイロットであるが、最終的に頼れるのは己の肉体のみである……
今日もいつもの鍛錬セットを行い出撃に備えていたのだが…
鍛錬後に汗を流そうと、自分の部屋へと一度戻ろうとしていたところだった。
「ちょっとよろしいかにゃ?」
なにやら忙しそうな顔をした吏族の方に声をかけられた。
「私に何か?」
サイはいつもの丁寧な口調を崩さずに尋ねた。
「食料増産が通達されたのは知ってるにゃ?」
吏族の問いにサイが頷く。
食糧増産−要は兵站の確保であるが…通達は新たに15万tを用意すること。
そのために他の国民達が汗を流して駆けずり回っている頃だ。
吏族は続けて。
「ここのリストに載ってる場所に行って食料を提供してもらえるように交渉してほしいんだにゃ。
本来は、うちらの仕事で戦士の方に頼む仕事じゃにゃいんだけど……
猫の手も借りたいってことわざもあるしにゃ〜…ってうちが猫だにゃあ!
にゃはははははははは〜」
と、後半妙なテンションになったがサイにポーンと書類を渡して行ってしまった。
サイはそっと書類に目を落とした…
そこにはずらりと行き先がならんでいた。どう見ても
サイはあきらめて最初の行き先へと走り出した。

サイに渡された行き先は主に漁業関係の仕事をしているところであった。
昼頃になり、やっと最初の行き先にたどり着く。この街の漁業組合の寄り合い場だ。
そこには、いかつい腕に傷のあるような連中がごろごろしていた。海の男、漁師の方々である。
「失礼致します。」
サイは相変わらずの口調で彼らの中に入っていく。
「おうおう、なんだい兄ちゃん?」
いかつい男どもの中で、一番の威厳を放つ者がサイを迎える。
なんというか、おっとりした普通のフィーブル国民が見たら一目散に逃げ出してしまうかも知れない。
そんなオーラを男は持っていた。
実は、あの吏族…忙しいのは本当だろうが…実はここに来たくなかったのではないかと思えて来た。
だが、サイは男を見ても顔色一つ崩さずに
「役所の使いとして来たサイ=コーデルフィアと申します。
突然ですが、どうか食料を安く譲っていただけないでしょうか。」
と、まっすぐ相手に男を見つめたまま答える。
男は豪快に笑って、
「普段なら断るところだがな、この戦時中だ事情は言わずもがなだ。協力しよう」
そう言って手を差し出す。筋肉隆々の男の腕だ。
「お前も気に入ったしな。」
男がまた豪快に笑う。
サイは差し出された手を取る。筋肉隆々の男の手は予想通り力強く握って来た。
ふと、男が思い出したように…
「そういえば、まだ俺が名乗るのを忘れていたな。」
といって、また豪快に笑い出した。
彼こそが、このあたりの漁業を束ねる長であった。

「今年は暖かいせいか、割と北の方にあるここら辺は例年よりも豊漁だ。
特に小型の魚の取れ高が相当良い、そのままでも例年より安くは出来そうだが。
ぎりぎりの線でこれぐらいで納入することは出来るだろう。」
と、漁業長が紙に納入食料と値段のリストを作っていく。
漁業長は周りの漁師と相談して、破格の値段…本当にギリギリの値で大量の海産物が取引されてゆく。
サイは正直価格などについては素人なのでよくわからないのだが、
きっと良くしてくれているのだろうと思い黙って作業を見守った。
そして、1時間程して納入リストは完成され、漁業長の手からサイの手に渡された。
そのときちらりとサイのもともと持っていた書類を見る。そして、
「兄ちゃん、困ったら俺の名前をだしな。海の人間ならわかるはずだからな。」
とそう言ってから外まで見送ってくれた。

その後の行く先々、漁業長の雷名のおかげかとてもスムーズにリストをこなすことが出来た。
サイは、海の男達に感謝の思いを抱きつつ役所への帰路についた。
夕刻になって役所に到着すると、仕事を自分によこした吏族を捕まえる。
「これが納入のリストとコストです。」
と、もらって来た書類をすべて吏族に渡す。
「ありがとうだにゃ。本当に助かったにゃ〜」
と吏族が礼を述べる。
「実は海の男ってこわいから苦手だったんだにゃあ。」
吏族は予想通りのことを言っている。
サイは首を振り
「彼らは、とっても良い人達ですよ。」
とだけ言って一礼して去っていった。
残された吏族はぽかーんとしていたが、すぐに我に返り仕事を始めた。


報告書
漁業組合から海産物に関する報告をまとめます。
・海産物       3万t

を新たに計上します。

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