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zoom RSS リレーSS/第4回

<<   作成日時 : 2007/02/15 00:53   >>

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「次からは本当に気をつけてくださいよ?ちゃんと考えて行動するように!」
政庁の廊下。前には正座をしたスピーカーがいた。

「はい〜、気をつけます。ごめんなさい〜」
もう正座を始めて1時間は過ぎた。もう座っているだけで辛そうだ。

「分かってもらえれば良いんです。まったく、肝が冷えました。
 では、今日はもう日も落ちてきたし、解散としましょう。」
「うぅぅうう、お、お疲れ様でした〜〜」
解放された瞬間スピーカーは倒れこんだ。よっぽど足にきていたようだ。

「ふむ、ところでこの書類はなんですか?」
「えっと、戯言屋さんから渡されたんですよー。国民のみんなに涼しく感じて欲しいみたいです。
 わたくしなんて団扇で仰いでもらった上に、ホテル・フィーブル半年無料宿泊券も貰っちゃったんですよ〜」
思い出してきたのか、スピーカーは嬉しそうな顔をしている。

「なるほど・・・分かりました。・・・ところで、歩けますか?」
「うぅぅうぅ、歩けませんーーーー」
まだスピーカーは倒れていた。

「しょうがない。歩けるようになるまで、お送りしましょう。・・・貸しイチですよ?」
ジョンはスピーカーに肩を貸しながら歩き始めた。

             =***=

「しかし、どうしようかな・・・」
スピーカーさんを送った帰り道。もらったばかりの書類『納涼計画』を見ながら考える。

「涼しいって言わせる、か」
まだ日は落ちたばかり。砂漠の国には昼の熱気が留まっている。
夜はこれからとばかりに、街は騒がしさに包まれる。
その中を家への帰り道を歩いていた。

「うーん・・・難しいよなー」
思わず頭を抱えたくなってきた。難題に思えて仕方が無い。
スピーカーさんを送りながら聞いた話では、涼しいと発言さえしたら、方法は問わないようだ。

”確かに、ペットボトルが爆発した時は肝も冷えたし”
思わず昼のことを思い出す。あれは驚いた。あさぎさんの手際の良さにも驚いたけれど。

「にしても、どうしようかなー・・・」
思い出している暇はない。重要なのは、自分が他人を涼しくしないといけないってことだ。

『ぐ〜〜〜〜〜』
急にお腹がなる。

「お、お腹減った・・・」
考えたら、お昼からアイスしか食べていなかった。

「まあ、ご飯食べてたら良い考えも浮かぶよな、うん♪」
よし、まずは腹ごしらえからにしよう!

             =***=

「ただいまーっと。」
途中で夕飯の材料を買い、部屋へと帰ってきた。
今日の夕飯は、鶏肉のペペロンチーノとキャベツのサラダ。何度も作った得意な料理だ。

「♪〜〜〜♪〜♪♪〜〜〜」
鼻歌を歌いながら、ちゃちゃっと作ってしまう。
まずは、パスタを茹でながらニンニクを炒めて、っとその間にサラダを作って・・・

「できたー♪」
今日の出来はなかなか良い。ペペロンチーノにはニンニクの味がしっかり付いてそう。
さっそく机に運んで食べることにする。

「いただきまーす!」
何気なく、食べながらテレビをつけた。ひとりで食べてると寂しいし。

『そしたら、雨がザーッと降ってね。車がバァーーって走って来てね。で、』
どうやらテレビでは怪談特集をしているようだ。

「・・・・あ、これ使えるかも・・・・・」
納涼計画。これでどうにかできるかもと思いつく。
食べながら、どうするかを考え出す。

「食事、怪談、肝が冷える、・・・・うん、どうにかなりそうだ。」
ざっと思いついた事を纏めていく。あとは、誰を対象にするか?
気が小さそうで、驚いてくれそうな人・・・

「ふむ・・・協力してくれる人も必要かな・・・・・」
どうも、ひとりだと無理そうだ。

”貸しイチですよ?”
夕方に言った言葉を思い出す。うん、スピーカーさんに頼んでみよう。

『ピ、ポ、パ、トゥルルルルル・・・・』
「あ、もしもし、スピーカーさんですか?少しお頼みしたい事がありまして・・・」
夜はゆっくりと過ぎていく。

             =***=

「こんにちわ、ぽるぼーらさん!」
「ジョンさん、こ、こんにちわ」
次の日、ルーディスキャットの隊員達の中からお目当てのぽるぼーらを見つけて、さっそく話し出す。

「あの、今日の夜、お暇ですか?」
「は、はい、予定はないですけど・・・」
思わず心の中でニヤリとする。

「では、良かったら食事でも一緒にどうです?手料理をご馳走しますし。」
「え、えーと、どうしようかな・・・」
どうやら、人付き合いが苦手なぽるぼーらは迷っているようだ。

「スピーカーさんも来てくれますし、まあ気軽に親睦会と思っていただければ♪」
「け、けど、えーと・・・」
ぽるぼーらはまだ戸惑い気味だ。

「お暇、なんですよね???」
「う、は、はい。暇です」
「はい、良かったです。ではまた夕方に。あ、これ自分の家の住所です。6時半くらいにお願いします!では!!」
住所の書かれた紙を渡し、返事を待たずにジョンは振り返り歩き出す。

「は、はい!」
遅れてぽるぼーらが返事を返す。勢いで押し切られたようだ。

”なんで急に食事なんだろう?”
疑問に思いながらも訓練に戻るぽるぼーらであった。

            =***=

「こ、こんばんわ〜」
玄関から声がする。どうやら、ぽるぼーらさんが来てくれたようだ。

「いらっしゃい♪どうぞ、お上がりください。」
一人暮らしの狭い部屋へと上がってもらう。

「こんばんわ、ぽるぼーらさん」
「こんばんわ〜」
先に来ていた戯言屋さんとスピーカーさんの挨拶が聞こえる。
戯言屋さんは予定外だった。どうやら、スピーカーさんが途中で会ってお連れしたらしい。
けど、まあ大丈夫だろう。こういうのは多いほうが良い。

             =***=

「さて、みなさん集まったみたいですね。今日はお越し頂いて、ありがとうございます♪
 たいしたモノではないですが、まあ、親睦会って感じで今日は楽しんでください!」
「はい、急に来てしまいすいません。楽しませていただきますー」
「は〜い、わたくしどんな料理か今から楽しみです!」
「は、はい、今日はわざわざすいません!」
三者三様の答えが返ってくる。

さっそく料理を運び出す。今日のテーマは魚づくしである。
前菜にサーモンのカルパッチョ。メインには魚の香草蒸し、他にはフィッシュフライや白身魚のカルボナーラもある。
せっかくこんなに作ったのだ。他の人も呼べばよかったと少し後悔。
けど、今回の目的は他にあるのだ。しょうがない・・・次は大勢でやりたいなと思う。

「さあ、どうぞ♪みなさん召し上がってください!」
料理を運び終わって、皆が食べ始める。

「今日は急にすいません。いただきますねー」
「いえいえ。この前舞踏会に誘って頂いたお礼にもなりますし、ちょうど良かったです。
 どうぞ、たくさん食べてってください♪」

「おいしいですね〜、このカルパッチョどうやって作ったんですか?」
「あぁ、カルパッチョはオリーブオイルとビネガーを良い物使えばすごい美味しくなるんですよ♪」

「どうですか?ぽるぼーらさん、美味しいです?」
「は、はい!ありがとうございますっ!」

みんな美味しく食べてくれているようだ。一安心と言ったところである。

             =***=

「あー、そういえば今日はお酒は飲まないので?」
戯言屋さんの質問に、内心ドキリとする。
「え、えぇ、今日は料理を楽しんでいただきたいなと思いまして。」
この前の舞踏会を思い出す。前みたいに大騒ぎになっては困るのだ。

あの時のぽるぼーらさんは凄かった。酒を飲んだとたんに、いつもの彼ではなくなったのだ。
あんな調子の彼では、次の段階が上手くいかないだろう。それは、困る。

「ソフトドリンクなら、何種類か買ってありますし、どんどん飲んでください♪」
「そうですかー。では、何か適当に頂けますか?」
「はい♪持ってきますね」
どうにか誤魔化せたようだ。

             =***=

「と、ところでジョンさんって本をよく読まれるんですよね?」
食事も終わり、周りの片づけをしている中、急にスピーカーが声をあげる。

「エ、エエ。よく読みますヨ?」
「わ、わたくし怪談とか好きなんですけど、何か話してくれませんかー?」
うぅ、やっぱり強引な計画だっただろうかと後悔する。
ていうか、自分の声が棒読み過ぎる気もするし。

「は、はい、良いデスヨ?では、少しお待ちを。」
落ち着け、自分!ここからが今日の本番だ!

「怪談ですかー。・・・涼しくなりそうですね?」
「そ、そうですねー♪」
まず、買っておいた蝋燭をテーブルに置いて火を付ける。

「か、怪談を、す、するんですか?」
「えぇ、します!少しお待ちを。」
そして、部屋の電気をパチリと消す。

よし、準備万端だ!

「では、話始めましょうか・・・」

             =***=

これは、自分が友人から聞いた話です。
彼は、夏の夜の蒸し暑さに、夜明け前にふと、目を覚ましました。
まだ、ねれるなと思い、布団の中で、ぼんやりとしていたんです。
そしたら、近くから、小さなささやき声が聞こえる。
初めは外で騒いでいる人でもいるのかと思い、また布団に戻ったそうです。

また、ぼんやりしていると、声のようなものが聞こえてきます。
神経をとぎすませていると、確かに女の声が聞こえてきます。
遠くの方から、近づいてくるような感じでした。

『たすけてぇ...たすけてぇ...』

どうやら、声は助けてと言っているようでした。
彼は起き上がり、窓を眺めました。
外は月の明かりに照らされていました。
部屋の窓から外をうかがうと
そこには何もありませんでした。
彼は急に怖くなって、急いで自分の部屋に戻り、
布団に潜り込みました。
両手で耳をふさぎ、布団の中でふるえていると
いつの間にか眠ってしまいました。
翌朝、友人に話そうかとも思ったのですが、
馬鹿にされそうだったので、やめました。

次の日の夜のこと。
その日も蒸し暑く、彼はなかなか眠れずに、布団の中で何度も寝返りをうっていました。
この前の出来事を思いだし、早く眠ろうと思っていると、かえって眠れない。
耳がいやでも敏感になって、周りの音がきになる。
ギクッ としました。
あの声が また聞こえてきたのです。
消えそうな声で

『.....たすけてぇ...たすけてええええ....』

はじめは、気のせいだと自分に言い聞かせていたそうですが、
その声は だんだん 大きく はっきりとしてくる。
部屋の窓から覗いても何も見えない。
彼は玄関の外からの声に思えてしょうがなかった。
意を決して、彼は玄関に向かいました。
ぎし....ぎし....
一歩 歩くたびに廊下はきしみ声をあげます。
玄関についた彼は、靴もはかずにドアの覗き窓に目を当てました。
そこには、血で染めたように真っ赤な服を着た女性が立っていました。

”あれ?こんな遅くにどうして人が?”
と思った瞬間。ガタンッ!!と言った音と一緒に、目をクワッと見開いた顔が、

『あけてえええええーーーー!!!!』

そのまま彼は気を失いました・・・

数日後、最近姿を見ないと心配した友人が、彼のところを訪ねました。
部屋から出てきた彼は、ずいぶんと印象が変わっていたそうです。
最近どうしたんだ?と友人は尋ねました。
すると、彼はこう答えたそうです。
「最近・・・毎日来るんだよ・・・窓の外に立ってずっとこっちを見てるんだ・・・」
何が来るんだ?と尋ね返すと、
「赤い服を着た女が・・・ずっと立ってる・・・」
と答えたそうです。その後も見えたそうなんですよ。

『...たすけてぇ...たすけてえええええええええええええ...』

と呟きながら徘徊する女性の姿が・・・

             =***=

電気をつけ、蝋燭を消した。
「ふぅ、以上終わりです♪どうでしたか?」
話を終えた。皆の反応はどうだろうか?

「ず、ずるいです!大声はずるいですよ!」
「いまいちってところですねー。もう少し怖いかと思いました。」
「・・・・・・・・・・・」
ぽるぼーらは無言である。

「・・・ぽるぼーらさん、大丈夫ですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタッ。そのままぽるぼーらは倒れこんだ。

「あぁあーーー!ぽるぼーらさんっ!!」
大騒ぎとなり、そのまま食事会は終わってしまった。

             =***=

数時間後、ぽるぼーらは目を覚ました。
軽く伸びをしながら、回りを見渡す。
どうやら、怪談の後に気絶してしまい、ジョンの部屋のベッドで寝ていたようだ。
”ジョンさんは、ヒドイです。”
自分が怪談を苦手だと知って話したのだろうか?
これは、一度怒ってやらねばと心に決める。

その時、窓がカタンと鳴った。

”あれ?どうしたんだろう?”
と思ったぽるぼーらは、ふと窓の方を眺めた。
その時、どこか遠くから囁き声が聞こえてくる。

ドキッ!ぽるぼーらの心臓が大きな音を立てる。
だんだん声は大きくなってくるようである。
まるで、だんだん近くに近づいてくるように。
”確か、さっきの話だと・・・”
嫌な予感だけが高まっていく。

『...たすけてぇ...たすけてええぇ......』

はっきりと、聞こえた。どうやら助けてと言っているようだ。
思考が意味をなさなくなる。ただ、体が緊張で固まっていく。
その時、窓の外を

『すーーーーーーーーー』

っと赤い服の女性が通り過ぎていった・・・・

             =***=

「わああぁああぁぁぁーーーーー!!!」
外に出ていたジョンは、ぽるぼーらの叫び声が聞こえたと同時に部屋へと戻った。

「だ、大丈夫ですか?!ぽるぼーらさんっ?!」
「あああ、赤い、、、服のお、おんなの、、、、」
どうやら、とても混乱しているようだ。

「大丈夫です!安心してください!あれは作り話なんですから!」
「け、けど、た、たた確かに、、、」
これだけ驚いてもらったら、話をした甲斐があるというものだ。

「ふむ。さっきは聞けませんでしたが、驚いてもらえましたか?肝が冷えました?」
「じゅ、じゅうぶん冷えてますよっ!見てください!体が震えてるじゃないですかっ!」
おかしな質問をするジョンにぽるぼーらは怒り出す。

「それは良かった♪少しお待ちを。」
「よ、良くなんかないですっ!って、え?」
ジョンは背中を向けて、何か書いているようだ。
そして、振り返り満面の笑みで何かを渡してきた。

「では、これをどうぞ♪」
「え、えーと・・・え?」
混乱しながらも、ぽるぼーらは渡された紙を読み出す。
その書類には、納涼計画と書かれていた。

             =***=

『ふるふるふるふるふるふる』
書類を読み終わったぽるぼーらの体が震えだす。

「どうしました?まだ、怖いですか?」
「な・に・が怖いですか?!なんですかっ?!こんな怖い思いをしたのにっ!!!」
「え、えーーと・・・すいません?」
「すいません?じゃないですよっ?!反省してるんですか?!」
ぽるぼーらは怒りで震えていた。

”あれだけ僕を驚かしておいて、最後には[ジョン:また食事会しましょう♪]だなんて!!”

「あ、ご、ごめんなさい・・・まさか、怪談を話したくらいであんなに怖がられるとは・・・」
「怪談だけじゃないでしょう?!さっき、窓の外を女性が通り過ぎたじゃないですかっ?!」
「え、えーと???」
「あっ!あれはスピーカーさんですねっ?!急に食事会なんておかしいと思ったんですよっ!!」
「あ、あの・・・スピーカーさんはもう帰られてるんですが・・・」
「だ、だって!確かに、今、窓の外を女の人が!!」
「は、はい?女の人?ここ3階なんですけど・・・」
まさに真夜中。丑三つ時。二人の声が消えると一瞬で辺りは静まり返る。

その時、窓の外を、

『すーーーーーーーーー』

っと、赤い影が通り過ぎた・・・

「え、えっと・・・」
「ほ、ほんとに3階な、なんですか?」
「は、はいぃぃぃ」
顔を見合わせた瞬間。

『たああぁすすううぅぅううけけえぇえええてええええぇぇええ!!!!』

「うぁあああぁぁぁああーーーーーー!!!」
二人の叫び声はあたり一面に響き渡った。

             =***=

その頃。ジョンの住んでいる集合住宅の屋上。黒眼鏡に黒スーツ姿の男が立っていた。

「まあ、怪談だけでは冷えたとは言いにくいですからね。」
なにやら、赤い布の付いた釣竿を手に持っている。

「それに、この話を聞いた人も冷えるってもんです。一石二鳥ですね。」
ニヤリと笑う。

男は無線機に話しかける。
「こちら、レッドクロス。作戦終了。繰り返す、作戦終了。撤収せよ。オーヴァー」
「こちら、スクリームにゃ。了解だにゃー。オーヴァーにゃん」

『ぶつっ』
無線機が切れる。

「ふぅ。最近、猫吏族の人達には苦労をかけますね・・・」

その後、宮庁では怪談騒ぎで皆が肝を冷やしたそうである。

(文:ジョン=ウォーカー)
(次回:→ぽるぼーら)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
遅くなってしまい、ごめんなさいー。
イベント40の結果を見てから投稿しよう!とか思ってたらいつの間にか10日もたってました(汗)

ではでは、ご意見、ご感想、ご提案などお待ちしてます♪
ジョン=ウォーカー
2007/02/15 01:15
 感想書き忘れてました・・・。
 
 この国は猫士をこき使うなーと。(苦笑) しかも、華族である戯言屋さんが先頭切ってやりたい放題やっているので、「何、このカオス」と言いますか。

 あと、料理の描写がおいしそうですね。普段から料理なさるんで?
刻生・F・悠也
2007/03/04 23:23

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