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zoom RSS それゆけ! 北海島アイドレス解放戦線! 第三回

<<   作成日時 : 2008/01/31 08:51   >>

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「ニューワールドチャットよ、クーガ君!」

 先日のシリアスシーンの何もかもを無視して、開口一番キラリコは言った。
 いつものように拳を握り締めて、瞳が炎のように燃えている。いつもより激しい感じに。

 時刻は昼頃。場所はオアシス公園のベンチである。

 クーガはどんな顔でキラリコと話しようと思っていたのだが、先手を打たれて間の抜けた顔になった。
 えーと。とりあえず相手に合わせよう。うん。 結局いつものように会話することに決める。

「それでキラリコさん。今日はどんな思いつきで叫んだり暴れたりするんですか?」
「ばかものー! このおおばかものー! あー、なんでこうこっちのテンションに合わせないのよクーガ君は!
今回は本気と書いて超マジなんだから、もう少しリアクションとりなさいー! それも傭兵の仕事よ!?」

 そんな傭兵がいるか!? と高速で突っ込もうかと思ったが自重するクーガ君。
 ここで逆らっても、どうせ契約書を盾にされるのがオチだと思ったのである。
 いや、まさか契約書にそんなことまで書いてあるんじゃないだろうな?

「よく聞きなさい。実はね、プレイヤー達が集まって会議してる場所を見つけたのよ!」
「……へえー。それは、まあ本当にそうなら、凄い話じゃないですか」
「本当なのよ! また偶然、フィーブル藩王と摂政が話しているのを聞いちゃってね」
 この国の藩王と摂政は口が緩すぎるのではないだろうかと思うクーガ君。いや、まあいい。

「じゃあ今日は、今からそこへ?」
「いいえ。すでにそのNWCでの会話を入手したのよ! 思わず徹夜で分析したわ!」
 なるほど。いつもより瞳の燃え方が激しいのは、寝不足で充血してるせいなのかも知れない。

「というわけで、これよこれ! ここに全部会話が書いてあるから!」
 キラリコがクーガに渡したのは、びっしりとプレイヤー達の発言がまとめられたメモ用紙の束であった。
「まあ、まだ分析途中な部分もあるけど、大体の会話の流れから考えるに……」

 嬉々として説明を始めるキラリコ。
 それを聞きながら、クーガは、自分がどうするべきなのか迷っていた。


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 フィーブル港に向かう船の、狭い個室に、男はいた。
 どこにでもいるようなスーツ姿の中年男だった。酷く地味で、頼りなさそうな。
 男は荷物の入ったトランクケースを開けると、中身を確認する。
 足りないものがないか確かめると、頷いて、トランクケースを閉めた。


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「結論から言うと、ここは奴等の聖地のようね。ほら見て」
 キラリコは断言した。クーガもその部分を見てみる。みんながナムナムしていた。

「数日前だけど、ある人物を他のみんなが拝んだりしてるわ! 宗教的な意味があるのよ、きっと!」
「……確かに拝んでますね。でも、こんな宗教は知らないし聞いたこともないです。うーん……」
「この『芝村(悪)』とかいう単語も怪しいわね!」
「拝んでるということは、プレイヤー達には、なんらかの支配階級的なものがあると?」
「そうね。かなり間違いないと思うわ! ……ん? メードガイってなにかしら?」

 かなり間違いだらけです。
 しかし、そう突っ込む人間がいないのであった。

「あと、I=Dみたいなロボについても熱論してるわね」
「軍隊についても授業とかしてますね。宗教と軍隊……なんだか危険な感じが……」
「いえ、もう引き返すことは出来ないわ! とにかく調べて調べて、奴等の手掛かりを掴むのよ!」

 使命感に燃えるキラリコ。不正を探す吏族よりも真剣にNWCのログを読んでいく。
 クーガも、なんとなくそこで行われている会話に興味を持ったらしい。メモを読んでいく。

「小笠原……?」
 キラリコは、何度も出てくる単語に目を細めた。
「これってキノウツン旅行社の小笠原旅行のことよね。そこで、逢い引き? とか男女の出会いを支援しているみたい。なるほど……小笠原は、どうやらプレイヤー達の出会い系スポットになってるみたいね……」

「発禁とか犯罪者とか、なんか怪しげな言葉も飛び交ってますね」
「えろさわら、とかいう単語もちらほら。なんだか卑猥な印象が強まってきたわ……」

 顔を赤くするキラリコ。
 頭の中で、いやんなモザイク光景が浮かんでくる。

「これは……恐らく、邪教の類と見たわ!」
 顔を真っ赤にしてキラリコは断言した。
 最終的に、大変なイメージになってしまったらしい。

「たまに、のろけてる人とかもいますけど?」
 キラリコ硬直。 ばっ! と音の出る速度でクーガからメモを奪う。

「これは」
 震える声。

「これは?」
「ガルガム(仮称)……」
「は?」

 ガルガム(仮称)ってなんだろう、とクーガは思ったのだが、キラリコはそれどころではない。
 実は、キラリコは恋愛らしい恋愛をしたことがない。それは全部、噂に聞くバカップルを量産する悪の組織ガルガム(仮称)のせいだと、かなり真面目に思っていたのである。

「くっ、まさか奴等プレイヤーとガルガム(仮称)に繋がりがあるなんて……!」
 ガルガム(仮称)と申したか、自分も奴等は敵じゃー! という小笠原苦戦者の読者の声がしたが、キラリコの瞳は燃えに燃えている。小笠原。そこに何かヒントがあるような気がしていた。

「よし! クーガ君! 私達も小笠原旅行に……」
 言いかけて硬直するキラリコ。きょとんとするクーガ。
 いや、えろいのはどうかと思うわ。えろいのは。咳払いして言い直す。

「……えーとね、うん。小笠原に、調査に行くわよ!」
「でも、キラリコさんも自分も、マイルとか持ってるんですか?」
「くっ! 確かにNPCに支払われるマイルなんてないわね! くそー、これも奴等の陰謀か……!」
「これ読んでる限りは、なんか和気藹々としてる雰囲気だけどなあ」
 メモを読み続けるクーガ。ちょっと楽しくなってきたらしい。

「なに言ってるのよ! 軍隊に邪教に悪の組織に! ここまで状況証拠が揃ってるなら、私が法官長なら問答無用で容赦なく処刑フルコースだわ! 小笠原! 小笠原に奴等はいるのに! ええい、ちくしょー!」

 むちゃくちゃ不機嫌そうに地面をげしげし蹴るキラリコ。
 メモが全部地面に落ちて、慌てて拾い集めるクーガ。

「ああ、腹が立つったらー! マイルさえあればー!」
「……いやまあ。そう怒らなくても。旅行した人を探せばプレイヤーかも知れないですし」
「あ。そうよ! それだわっ!」

 適当に言ったのだが、キラリコの瞳が輝いた。
 ナイスクーガ君! と笑顔を浮かべる。

「うーん。でも旅行社を利用してる誰がプレイヤーかを見つけるのは、かなり難しいんじゃ……」
「ちっちっち! 甘いわねクーガ君! ちょうどドラッガーだし、こういう時は予知夢よ!」
「……え? 予知夢ですか。アテになるんですか。あれって」
「ふふっ。私達が今から旅行社を利用したプレイヤーを見つけられるなら、きっとなにか見えるはず!
そうでなくても、うまくいけば手掛かりらしいものが見えるかも知れないし! クーガ君、ちょっとそこどいて!」

 あっさりとベンチに横になるキラリコ。
 スカートの裾が少しだけめくれて、クーガは慌てて視線を逸らした。

「じゃあ、やってみるわねー」
「なんというか。その、慎みを……」
「ん? なに?」
「何でもありません。早くやって下さい」

 小首を傾げてから、キラリコは三秒で寝た。
 頭を振って、クーガは溜息を吐く。いつもいつも調子を狂わせる人だなと思う。
 女性というものはみんなこういうものなのだろうか? それともこれが共和国風なのだろうか?

 まあ、今のうちに拾い集めたメモでも読もうかな。
 そう思ってメモを読み始めて、次のメモをめくったその瞬間、クーガは絶句した。
 メモの束の中に、とても見覚えのある契約書が、挟まれていた。

 キラリコが目を開いた。

「うわあっ!?」
「な、なによ、いきなり! 失礼なリアクションね!」
「いやいや、そのっ、いえ、なんでもありませんっ!」
「? まあいいわ。それよりも! なんか変なのが見えたわよ! 男の人!」
「……はあ。え、ええと。どんな人でしたか?」

 喋りながらも心臓が高鳴る。今、クーガの手の中に契約書があるのだ。
 徹夜で作業していたと言っていたから、きっとメモと混ざってしまったのだろう。

 あとは、これをキラリコの見つからないように、回収してしまえば……

「えーと。スーツ姿の男だったわ。なんか冴えない感じの」
 欠伸を手で隠しながら、キラリコは眠そうに続けた。
「私と向かい合ってたけど、そこでいきなり終わったわ。どうもあんまりうまくいかなかったみたい」
「ま、まあ、運次第ですし。当たり外れはあるんじゃないですか」

 さりげなく手にしているメモを、後ろに回す。
 契約書を引き抜いて、片手で少し強引に折り畳み、後ろのポケットに入れる。

 ……出来た。

「ちょっと。クーガ君、聞いてる?」
「ああ、はい。聞いてますよ。はい」
 キラリコはクーガの頬を引っ張る。はひふふんへふはー! クーガは喚いた。

「私、もう眠くて限界だから、今日はこのぐらいにしましょうって聞いてるのよ!」
 こくこくと頷くクーガ。よろしい。そう言って頬を放すキラリコ。


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「……ところで、どう?」
「え? な、なにがですか?」
 キラリコは、少し表情を曇らせた。
「北海島アイドレス解放戦線の活動。少しは慣れた?」

「ま、まあ。慣れた、かな」
「そう! なら良かったわ!」
 嬉しそうに笑うキラリコ。

「まあその。強引な勧誘だったとは思いますけど……」
「うっ! そ、それはほら、私も必死だったのよ。全然手掛かりとか見つからなかったし」

 ふと、クーガは思った。
 もうこれでお別れなのである。この後は、輝く笑顔で港からすぐに出国だ。
 それなら最後に、これまでの不満を全部言ってやろう。そんな意地の悪いことを考えた。

「でも! なんか結構いい感じで情報が集まりだしたし。ひょっとしたらクーガ君のおかげかもね。ありがとう!」

 しかし、クーガが口を開くより先に、嬉しそうにキラリコが続けた。
 クーガは何かを言おうとした。言おうとして、言おうとしたのだが、何を言いたかったのか、忘れた。

 オアシス公園を、海からの風が駆け抜ける。
 クーガは少しだけ迷ってから、笑った。

「そうですか。それは良かったですね」
「そりゃもうー! えへへ。やっぱり一人より二人ってやつよねー!」

 この女は、怒りにしろ喜びにしろ、年齢の割に感情表現が死ぬほどストレートなのであった。
 それを今頃になって改めて思い知るクーガ。なんて酷い人だと考える。

「じゃあ、また明日! 必ず奴等に一泡吹かせましょうね!」
 元気よく駆け出すキラリコ。クーガは軽く手を振って、笑顔で見送る。

「……キラリコさん!」
 最後に、クーガは声を上げた。
 んー? と笑顔で聞いてくるキラリコ。

「たまには、ちゃんと仕事して下さいね! サボってばかりだと、クビになりますから!」
 それが最後の言葉だった。キラリコは嫌そうな顔を浮かべた後、やはり笑って、そして走り去る。
 それが、クーガとキラリコの別れだった。


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 ……29国と聯合を結んでいるといっても、こんな小国まで来る船は少ない。
 クーガは港で船を待っていた。帝国に帰る船である。もうあと1時間しないうちに来るはずだった。
 輝く笑顔ではなかったが、クーガは時計を気にしていた。
 なんとなく、キラリコに見つかるのではないかと思ったのだ。


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 キラリコは自宅に帰る途中、ふと空腹を感じた。
 寝る前に軽い食事でも食べようと思って、ホテルフィーブルに向かう。
 あそこの一階の魚料理は美味しい。お気に入りの店であった。

 最近、なんだか何もかもうまくいってる気がする。
 何となくプレイヤーの存在を知る前の自分のことを思い出した。世界が大変なことになっていて、でも何も出来なくて、とても小さかった自分を思い出す。そしてプレイヤーという存在を知った時、キラリコは本当に、とても腹が立った。そして思い出したのだ。脅威を前に諦めることもなく戦った、彼らのことを。

 そして思ったのだ。
 弱い自分だが、誰かのために何か出来ないだろうか、と。

 最初は何もうまくいかなかったが、やってみるものよね、とキラリコは思う。
 最後まで独りだと思っていたけれど、今では仲間も出来た。少し強引だったけれど。
 クーガ君。なんか弟みたいよねえと思って、キラリコは自分でも気付かないうちに笑った。
 実際のところ、クーガのほうが年上だということには、気付いていない。


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 船が来た。帝国からの船だった。
 そして帝国に帰るための船だった。

 溜息を吐いて、クーガは船に乗り込もうとする。その途中、スーツ姿の男とすれ違った。
 酷く地味で、頼りなさそうな、冴えない顔の男。トランクケースを持っている。足を止めるクーガ。
 振り返って目を細める。歩き方を見て、訓練された軍人だと見抜いた。

 ……あの人が、プレイヤーなのだろうか。
 あの人がキラリコさんと会うというのは、どういうことなのだろう。

 クーガは考える。お客さん、乗船するんですか? 係員の声を無視する。何かが引っかかっていた。
 例えば。仮定の話を考える。例えば、この世界が虚構の世界で、もしもプレイヤーという存在が、この世界でいろいろするために存在しているとして。それは、どのくらいの数なのだろうか。NPCと呼ばれる自分達よりも多いだろうか? それはないと思うクーガ。もしそうなら、もっと話題になっていてもおかしくはないはずだ。

 いや、この考え方は違う。そうじゃない。そうじゃなくて。

 お客さん、出航しますよ! お客さん! 係員の声を無視する。何かが引っかかっていた。
 もっと単純な話。プレイヤーという存在は、自分達がプレイヤーということを隠しているはずなのだ。

 だから、プレイヤーということを知っていたり。
 ましてやそれを広めようとか、そういう人物がいたりする場合。
 プレイヤーは困るだろう。困るなら、どうするだろうか?

「お客さん!」

 クーガは我に返った。
 犬耳の係員が、こちらを見ている。

「乗らないんですか?」
「あ。その、いえ。乗ります」
 船に乗り込むクーガ。変なお客さんだなあと思いながら、船長に合図する係員。
 汽笛が鳴る。船が動き出した。


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 ホテルフィーブルを出て、キラリコは満足した様子で中心地区を歩いていた。
 バター焼き、美味しかったな。あと塩焼きも。やっぱり魚は鮮度と焼き立てが重要だわと考える。

 閑静な住宅街を歩いているキラリコ。
 近道しようと考えて、路地裏を歩いていく。


/*/


 クーガは、自分がどうするべきなのか迷っていた。

 なんというか、あの人は本気だったと、クーガは思う。
 怒っている時は、いつも本気で怒っていたし。笑っている時は、いつも本気で笑っていた。
 本気で生きていたから、自分達をいない存在だと思っているらしいプレイヤーに、腹が立つのだろう。

『私達が、ここにいる、ってことを。奴等に教えてやるのよ』
『じゃあ、また明日! 必ず奴等に一泡吹かせましょうね!』

 自分は、どうなのだろうか。クーガは自問する。 
 ここで自分は、あの人を見捨てていいのだろうか。

 自分は、自分のことで精一杯だ。きっとこれからもそうだろう。誰だってそうだろう。
 あの人は自分や他人のために怒っているのだろうが、そんなことは自分には関係ない。
 勝手に怒って、勝手にどうにでもなればいい。そんなことに、自分は付き合ってられないのだ。

 そして。

 それと同時に、思うのだ。
 なぜ自分が動揺しているのか、クーガはようやく理解する。

 彼女のことが羨ましい。そして悔しい。
 自分だって出来ることなら、あんな風に、生きてみたい。
 誰も彼も彼女のことをおかしいと言うだろうが、しかし、どんなに修行しようが、あんな風には生きられない。

 クーガは思う。
 自分は、キラリ・キラリコが嫌いだ。
 あんな生き方を見せられたら、この先、どう足掻いても苦しまなくてはいけない。

 酷い話だ。
 本当に酷い話だ。

 係員の制止する声が聞こえたが、クーガは無視した。


/*/


 キラリコの自宅前に、見慣れない男が立っていた。
 いや。キラリコは思い出す。あれは見た顔だ。そう、予知夢で見た男。
 こちらに気付いた男は、笑った。向かい合う二人。


/*/


「えーと」
 キラリコは恐る恐る声をかける。
「ああ。帰ってきましたか。良かった良かった。あまり時間をかけないで済みそうですね。少しお待ちを」
 ごく自然に、男は拳銃を向けた。トランクケースに分解して隠してあったものである。
 きょとんとした表情のキラリコ。


/*/


「世界の真実を、教えてやろう!」
 どこかの誰かのように、彼は言った。


/*/


 その声に、男が振り向いて引き金を引くのと、何かが飛んできたのは同時だった。
 男の視界を一瞬だけ遮った、それは白くて四角い、名刺だった。キラリコの住所が書かれた名刺。

 外れた弾丸を気にもせず、クーガは一瞬で抜刀。
 男の拳銃が真っ二つになって転った。高速で返す刃を、懐から取り出した妙な短剣で受け止める男。
 カキン! という澄んだ音がして、刀が折れた。ソードブレイカー。

 大きく目を見開いて絶句するキラリコ。
 その様子を見て、クーガは唇の端を笑わせる。

 びしょ濡れで。
 息を切らせながら。
 しかし楽しそうに。

 男が、さらに懐から短剣を取り出して二刀流になって、クーガは半分以下になった刀を捨てた。

 男を真っ直ぐに見つめる。
 炎のような眼差しは本気の証。

「それは、この世界が虚構の世界でありながら、しかし確かに、ここに自分達がいるのだという、ただそれだけのよくある話! ただそれだけを伝えたくて、今日も真実を追い求め、奴等プレイヤー達と壮絶な戦いを繰り広げる正義の組織! それが!」

「それが、北海島アイドレス解放戦線だ!!」
 宣戦布告するように、クーガは天に拳を掲げた。


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<それゆけ! 北海島アイドレス解放戦線! 第三回>


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「……なるほど」
 クーガは、納得したように呟いた。
「確かに、刀でも素手でも、白兵評価には変わらないみたいですね」

 実際の判定では変わるかも知れないが、前例がないため、今回はこれで、よしとしよう。
 キラリコは、クーガと壁に叩きつけられて失神している男を交互に見て、クーガに駆け寄った。

「クーガ君!」
「大丈夫でしたか、キラリコさん」
「その、なんなのこれ! 誰、この人!」
「プレイヤーの存在が世間に広まると邪魔になる、そう思った人がいたんでしょう」
 少なくとも、プレイヤーという存在が本当にいるかも知れない。その判断材料にはなるとクーガは思った。

「そう……」
 そう呟くように言って、キラリコは真剣な眼差しでクーガを見つめる。
「あと、もうひとつ言うことがあるんだけど」

「何か?」
「今、戦闘シーン飛ばしたわね」
「まあその。どちらかというと蛇足になりそうだったので、あまり長々と描写するわけにも……」
「私そういうの嫌いなのよ。大体、手抜きはどうかと思うわ。手抜きは」
 そう言って、キラリコは笑った。

「あと」
「あと?」

「ありがとう」
「……キラリコさんは、酷い人だなあ」
 思わず本音が出ると、それ、どういう意味よ? とキラリコは表情を変えた。

「いや。これから自分、こっちでの働き口とか住居とか探さないといけないですし」
「働き口なら、本当に白兵戦闘の教官とかやればいいと思うわよ。私、話を通してあげるし。住居は」
 キラリコは一瞬、小笠原のことを思い出して、いやいや違う違う。私は年上が好みだと頭を振った。

「私の家ってお金持ちだから、結構広いんだけど」
 クーガは返答に迷った後、キラリコさんには慎みが足りないと思いますと素直に言って、小突かれた。


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 まあ、そんな感じで。
 北海島アイドレス解放戦線の戦いは続く。


 → CLOSED

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