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<<   作成日時 : 2008/02/28 02:38   >>

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 進む。
 闇の中を。
 果てしなく続く闇の中を。
 上下も左右も前後も分からない闇の中を。
 既に入口の位置は愚か、現在地すらも分からない。
 だが、ここではそんな概念は意味を持たないのだ。

 …『クリエイション・マトリクス』。

 それは、ネタとも伏線とも取れる設定が点在するフィーブル藩国に置いて、少なくともフィーブルが構築した中では最深部に位置し、藩王のアカウントを持つ者のにしか侵入が許されない領域。
 本来は藩王から藩王にのみ受け継がれるモノであり、他の者が存在を知る事すらない。

 無名世界においては唯の「絵空事」でしかない世界の情報…古の英知…勇者の記憶…様々な情報が格納されている。
 撃雷号や自由号の開発には、ここから得た数々のノウハウが導入されている。

 本来は明確な形を持たず、道を望めば道が現れ、書棚を望めば書棚が現れる場所だ。
 …それなのに、今この空間に闇が満ちている。
 侵入する者を阻む闇が。

/*/

「スフィア。」

 闇の中にぽっかりと浮かぶ、扉を開けて、僕は彼に声をかけた。
 例え闇の中でも、目的地が想像できて近づこうと思えば、そこに着ける。
 鍵は…かかっていなかった。

「…! …遊々!?」

 当然と言えば、当然だが、誰も来ないと思っていたのだろう。
 それに行方不明の人物が目の前に立っているのだから、驚きも一入だ。

「どこに…どこに行ってたのさ…
 僕もうどうしたらい…い…のか…」

 続けて恨み言だか何だかを言っているようだが…泣きながら話しているので、もう良く聞き取れない。
 …もうHPはゼロよーと言う展開を期待してきたが…予想通り既に強がりとか八つ当たりどころではない様だ。

「…ここまで良く頑張ったね。
 立派にとも、完璧にともいかなかったけど、スフィアはスフィアなりに頑張ったんだ。
 それは僕が保障しよう。」

 悲しい顔をしそうになるのを堪えて、精一杯慈愛に満ちた笑顔を作る。
 ただ見ている事しか許されなかったパーカーにも苦労をかけた…

 抱きしめて、頭を撫でる。
 一瞬抗おうとしたけど、それだけだった。後は直ぐに大泣きを始めて…さほど経たない内に泣き疲れて眠ってしまった。


 彼とは、お別れだ。
 絶望度が規定値に達したのだ。ゲームオーバーだ。
 救済ゲームも予想通り開催される事は無かった。一人参加志願者が居たのは予想外だったが…
 2度目の別れ。1度目に比べれば遙かにましなのが救いだ。

 まあ、幸いにしてフィーブル藩国の猫士のパーソナリティは殆どが空だ。
 彼には、この戦いを最後まで見る権利と義務がある。
 これからも共に戦おう。最後の瞬間まで、諦める事無く。

「お休み…スフィア…」


 フィーブル藩国内エンディングランク:C



◆ソフィア乙型に関するレポート:
 これはフィーブル…スフィアがスフィアのままで戦えるかという一種の試験だった。
 無名世界ならあるいは…そう言う希望をかけた試験。
 彼に許されているのは、基本的に『作る』作業のみ。財政表の更新が彼の最後の砦だった。

 彼の特性を列挙すると…
  ・何でも自分のせいにする
  ・頼らない、弱みを見せない
  ・根性はあるが、根が弱い
  ・誰かが傷つく事を人一倍嫌い、自分を軽視する
 となる。

 GPMとかなら、人の目の届かないところで、黙々と鍛錬をして、授業を真面目に受けて、しょっちゅうぶっ倒れる様な思考回路になっている。
 だが、アイドレスにはそう言ったスタンドプレイによる充足感も能力成長も無い。
 つまり、順当に行くと、ストレスが溜って、王としてのプレッシャーに耐えられずに心が折れる事になる。

 「自分が役に立てた」と感じた時絶望度が大幅に下がる仕様だったが、それはせいぜい撃雷号の時くらいだった。自由号は、無駄に聯合費を消費させてしまったと言う自責の念の方が勝っている。
 能力が足りない度に、弱いと実感する度に、国の誰かが戦力が欲しいと言う度に、彼は自分が不甲斐無いからだと自分を攻め立てた。
 誰かが戦死していれば、あるいはそれを糧にもう少しくらい戦えたかもしれないが、結果は大差なかっただろう。
 ちなみににゃんにゃん共和国の内乱も自分がわんわん帝國と近づいたせいではないのかと自分は間違ってないという感情と他に罪悪感も感じている。

 最後の段階では、「自分がもっとしっかりしていたら」が「自分が王じゃなければ」にシフトしており、行動指針に従って行動すると小笠原ゲームすらままならない状態であった。(悪しき夢になったり、迷宮に突撃するほどではないけど…)

 スフィアは10以上居るフィーブルの中で一番その名に相応しいキャラクターだったし、フィーブル藩国の王に彼以上に適任のキャラクターは居なかっただろう。
 だが、やはり幼すぎたのだろう。それが結論だ。

/*/

 ゲームを開始した時から、こうなるだろう事は分かりきっていたし、必然なので、不条理なエンディングではあるが、まあこのSSも含めて遊々のロールと思っていただきたい。

 これでフィーブル藩国が終わった。
 昔が良かったというのは簡単だが、そこで止まっていては駄目なのだ。
 これからは、メカの国でも技術の国でもないフィーブル藩国が始まる。まあ、別に避ける必要もないのだけど…
 少なくとも「何処かの誰かの未来の為に」、「明日の笑顔の為に」、この国是さえ残っていれば、そこはフィーブル藩国足りえるのだから。

 トントン。
 ノックの音がした。
 書類を書く手を休める。

「はい〜。」

 返事をすると戯言屋が入って来た。

「燃料の項目なんですが、計算ミスが…?」
「?」

 何となく何時もと違う風景に違和感を感じる戯言屋。
 まあ、何てことは無い。それはフィーブルが膝に猫士を抱いて、仕事をしているからだった。
 執務室で見たのは初めてだが、フィーブルが猫知類とじゃれているのは何時もの事だし、特にサボっている訳でもないようだから、特に気にする事でもないだろう。

「いえ、見た事無い猫士だなーと思いまして。
 で、この燃料なんですが…」

 スフィアは、けじめをつける為に執務室では決して猫士を抱いたりしない事を戯言屋は知らないのだった。

「みゃぅ」

 フィーブルの膝の上の猫士が幸せそうに鳴いた。


 文:フィーブル
 ※乱文につき、後日修正予定。

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