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zoom RSS 昼下がりのテラス、薄闇と輝き

<<   作成日時 : 2008/05/21 20:03   >>

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 ボン!

「許せんな!」
「うわぉ!?」

 何時に無く凄い勢いで開く部屋の扉。
 ゆったりのんびりのこの国の、しかもフィーブルの部屋にそんな勢いで飛び込んでくる奴は国中狭しと言えど、一人しか居ない。

「え、あ、遊々? どうかしたの?」

 居るのか居ないのか、何かしてるのかしてないのか、何とも微妙な元摂政である。

「どうかしたのじゃない! 近頃ファーストフラッシュをがぶ飲みしているそうじゃないか! 許せんな!
 それをYO☆KO☆SE!」
「自分で淹れればいいじゃない…」
「や。っていうか、御子様の癖に生意気! 藩王だからって金に物言わせて!」
「お小遣い月5000にゃんにゃんだよ。」
「高いな!? いや、安いな!? …給料的なものは?」
「募金。」
「俺は分かった。お前に藩王の資格は無い。
 今日から俺が藩王になる。そして、毎日1500にゃんにゃんの特盛定食を食べる。」
「大差ないじゃない!?」
「甘いな、毎日だぞ!!」

 遊々は、よっこらせとか年寄りくさいセリフを言ってフィーブルの向かいに座った。
 昼下がりのテラスの良くある光景。
 白衣で2Pカラーの遊々が向かいに座ると対称で対称じゃない不思議な光景になる。

「へこんでるらしいな。」
「へこんでると言うか…なんと言うか…迷ってるかな?」

 テーブルの上には、昨日の新聞。
 国情調査の結果が載っている。

「そんなに迷うほどの事か?」
「だって、どうすればみんな納得してくれるのか分からないもん…」
「そうだな…
 お前の想いってのは、身内に否定されたくらいで折れるようなものか?」
「そんな事無いよッ。」
「なら、答えは簡単なはずだ。自分を貫けばいいだろう。」
「う〜ん…」

 やっぱり腕を組んで考え込む、フィーブル。

「遊々はどっち派?」
「あ、あー、一応俺も設定国民に入るのか?
 だとしたら、the設定国民of設定国民sと言えば、俺という事になるな。俺すげー。」
「なに馬鹿っぽいこと言ってるのさ…
 いや、でもどうなんだろう?」
「そうでなかったら、俺が出てるのは全部お前の妄想か夢って話になるんじゃないか? 実質影響はある訳だしな。」
「い、いやな夢…」
「更に俺はお前の理想像と言う事に!」
「それだけはイヤ! やっぱり、設定国民だね!」
「うむ、そうだろう。そうだろう。」

 うんうん、頷く遊々。

「で、どっち?」
「ふむ…どっちでも無い派じゃないか?
 障害とならないなら、別に影で何やっていようが知った事じゃないが、障害になるなら、議会派だろうが、天領民だろうが、全て等しくまとめて叩き潰す。勿論国王派もな。」
「うぉーい!? いや、それ以前に無理でしょう!? どう考えても!?」
「だから、暇人やってるのさ。
 俺は力がある事が前提のキャラクターなのさ。力が無きゃ唯の空気読めない上にダサい奴だろう。」
「遊々…ボク思うんだけどさ。」
「ん?」
「今でも、そうだと思うんだ。」

 ぐさっ!っと誰もが効果音を幻聴する瞬間。

「それは違う! 俺は空気を読んだ上で、無視してるのだ!」
「余計悪いよッ!!」

 ため息をついて盛大にへにゃ〜と崩れ落ちる、フィーブル。
 上目遣いで一言。

「でも、それじゃ唯の独善者じゃない…」

 これがジャパニーズ萌えという奴だろうかと思う、遊々。まあ、いいや。

「その通りだが、少し違うな。俺は悪に対する悪だ。善なんて気色悪いものじゃない。」
「な、何それ…」
「俺の進む道は、俺が補償する。俺の前に立つ奴がいたら、それは須らく笑顔の敵だろう。
 だが、俺はその自分を正義と名乗ったりするほどの糞虫じゃない。
 人質を餌に使ったり、大量虐殺したり、悪を排除する為だっていうのなら、平気でできるからな。」
「…ご、極悪人が居る…」
「悪党なんだから、何をしようと勝手だろう。」
「いや、勝手にされたら困るからッ!」
「まあ、だから何時かは倒れる事になるのだろうさ。力に頼ってるんだからな。
 ただ、その後には少しでもお前みたいのが住み易い世界になってる。」
「酷いんだか、何なんだか…」
「面倒くさがりなのさ。
 力を振るって解決するってのは、考えるのを放棄して、一番簡単な方法に逃げるって事なんだからな。」
「それ聞いたら怒る人沢山いるよ、きっと…」
「怒りたい奴は怒ればいいだろう。
 その上で立ちはだかるなら、それは悪だ。砕いて、裂いて、晒してやるよ。
 同類で殺し合うのもおつだろう。」
「うぅ…喧嘩はいけませんよ!」
「なら、どうする?」
「ぐぬぬぬぬぅ……ワン!」
「威嚇してどうするよ…っていうか猫だろうに…」

 さりげなく、ティーカップに手を伸ばす、遊々。…かわされた。

「まあ、アレだ。国王派も唯の平和ボケどもかもしれないが、議会派はもっとくだらないな。
 殴られてムカついたから殴り返すなんてガキの理論だ。」
「それは流石に言い過ぎだよ…」
「言い過ぎなものか。そのままだろう。」
「でも、大切な人が傷付けられたらって言う人もいるでしょう!」
「ふむ。それなら、まだマシだな。一般には勇気っていう大義名分が付くやつだ。
 この国の奴らしいし、議会派って奴の主流かもしれないな。
 でも、そいつ等も所詮マシなだけだ。やはり、決定的要素が足りない。」
「決定的要素?」
「そうだ。
 そいつ等は身内しか目に入ってない。要はやっぱり自分一番でしかないのさ。
 護るべき人の為に命を懸ける兵士の決意を考えた事があるか。敵も人だ。それくらい考えもするだろう。
 納得行かない命令に”イエス、サー”と応え、部下に強要しなければならない士官の怒りを考えた事があるか。それは良くある事だ。
 愛すべき人に先立たれた者の悲しみを考えた事があるか。その人の愛すべき人を殺したのは、お前の意思だ。
 力を振るうという事は、そう言う事だ。先に仕掛ける方が悪いとも限らないのも性質が悪い。
 お前は、考えた事があるか。敵の心情を。
 思い浮かべた事があるか。今殺す瞬間の敵の顔を。
 どうだ?」
「考えた事は…あるよ…」
「でも、引鉄を引く時には忘れると言うのだろう。
 相手の顔を見て戦争は出来ないと言うな。
 クソの様な話だな。反吐が出る。
 何たる甘え。何たる逃避。」
「だって、仕方ないよ! 誰だって…」
「本当は争いたくないとでも言うか?
 だったら、何故敵をその例外にする?
 ふざけるなよ。
 前を見ろ。正面を見据えろ。お前が殺す相手の死顔を目に焼き付けろ。断末魔の呪詛を脳裏に刻め。
 お前が殺したんだ。お前はその業を背負って生きる義務がある。」
「………」
「…やれやれ、どいつもこいつも程度が知れている。
 この程度の事も分かってないから、ガキだと言うんだ。」

 ティーカップゲット…だが、中身は空だッッ!

「………
 スフィア、お前は元々お人良しっていう不幸な星の元に生まれた人間だから、まあ他よりはマシだと思うんだが、それでも傷つく痛みって奴を知らな過ぎるんだよ。
 だから、根っこがぼやけてこう言う時にうじうじしてしまうのさ。」

 沈黙。
 何事も無く、ポットゲット。
 だが、中身は空だッッ!
 クワッと遊々が襲い…かからなかった。

「ボクは…」
「うん?」
「ボクは…その勇気を越えて、≪勇者≫を目指します。」

 やっと、フィーブルの決め台詞の一つも言える様になったか。と、遊々は不敵に微笑んだ。
 そして…














「もう一杯分のお湯を用意すべきだ。」

 やはり、遊々は空気が読めない奴だった。台無し。

To be continue.

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