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zoom RSS 【完全でなき者】の話

<<   作成日時 : 2008/05/21 20:32   >>

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 それは普段日常という光の中に紛れて霞み、悲しみという闇が迫ったその時に朧に浮かび上がる無垢なる心。

―それは勇気でなく、愛でなく、優しさでなく、まして力でもない。

―そこに悲しみがある時、現れ出でる純白の力。悲しみを悲しむ心。

―それの名を「正義」という。

 正義とは「正しき義」の事。だが、この「正義」という言葉が持つ「それ」が、言葉になる前の「それ」が持つ何かはそんなものじゃないはずだ。
 言葉は万能じゃない。言葉にした時点で、それは心に劣るのだ。

 そう、二つの国があったとしよう。
 片方の国は餓死者が出るほどに餓えており、隣国を占領して食料を確保しないと国が無くなる定め。
 もう、片方の国は隣国が強国であり、今すぐ弱った隣国を占領して戦力を強化しなければ滅びる定め。
 そして、戦争になった。

 どちらが先に仕掛けた訳でもない。片方が仕掛けなければ片方が仕掛けていた。

 餓えた国の者は愛する家族の為、友人の為、愛する者の為、戦うだろう。
    ―それすなわち正しき義。
 
 食料だけの国の者は平和の為、愛する国の為、未来の為、戦うだろう。
    ―それすなわち正しき義。

 どちらとも正義だ。だが、違う。それは決定的な「正義」じゃない。これは悲しい物語だ。
 そう、真の「正義」はそれすらも打ち砕く理想。二つの国の両方を悲しんで、その現状を悲しんで、悲しい物語をぶち壊してやるという理想。
 そのやり方は決して効率的ではない。そのやり方は決して最良ではない。
 力があるだけで、成し遂げられるものでもない。

 故に完璧で無く、最強で無く、無敵でない。
    ―それ故に「彼」は【完全でなき者】と呼ばれる。


…銀河幻想の一幕より

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