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<<   作成日時 : 2008/11/09 16:01   >>

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リゾート地プロジェクトによって改装されたホテル・フィーブル




L:リゾート地 = {
 t:名称 = リゾート地(施設)
 t:要点 = カジノ、ホテル、旅行者
 t:周辺環境=海岸
 t:評価 = なし
 t:特殊 = 
  *リゾート地の施設カテゴリ = 国家施設として扱う。
  *リゾート地の位置づけ = 生産施設として扱う。
  *リゾート地の特殊 = 毎ターン生産フェイズに資金が+20億される。食料が5万t消費される
 }
 t:→次のアイドレス = カジノ(施設),リゾートプール(施設),リゾートアイランド(施設),フィーブルに来るやつなんかどこにいるんだ(強制イベント)




 フィーブル藩国再建計画。
 それは、アイドレスがシーズンオフ中である、第1世界2008年11月頃に行われた、人口減少による藩国滅亡と、焼け野原となった藩国を救うための、フィーブル藩国政府による一大プロジェクトである。

 この頃、フィーブル藩国は客観的に見ると、荒れに荒れた藩国を偉い人(NPC)が藩王を名乗って善政を敷き、軍を率いて悪漢と戦って、その戦闘の結果はこの文章を書いている時点では不明だが、最終的に偉い人は去ったもののフィーブル藩国は焼け野原になったという、いろいろと突っ込みどころに困らない状態になっていた。すでに藩国の人口は500万人を下回っており、シーズンインと同時に滅亡するであろうと、多くの人間が予測していたという。

 この状態から藩国を立て直すのが、フィーブル藩国再建計画である。
 そのためにはフィーブル藩国が、今の焼け野原から本来の姿を取り戻し、人々を呼び戻さないといけない。
 そこで、フィーブル藩国再建計画の中でも、この両方の問題をクリア出来る大計画として、リゾート地プロジェクトがスタートしたのである。

 リゾート地プロジェクトは、電子の女王およびギークによる藩国の情報分野の特化プロジェクトと平行して、最もフィーブル藩国再建計画の要として重要視されている。その内容は、文字通り藩国のリゾート地化と、そのための国土回復と治安強化、そしてそれに伴う人口の回復、藩国の資金収入増を狙うことである。

 まず、プロジェクトの最初として、治安の強化が行われた。
 この治安強化の背景には、オリオンアーム大統領、是空とおる大統領によるODA支援があったことを忘れてはいけない。このODA支援の後押しがなければ、フィーブル藩国の治安強化は不可能だっただろう。

 過去の第七世界人弾圧による暴動や、フィーブル藩国での大会戦後の治安度低下を予測して、まず国家として確実な治安度を確保することが、藩国再建のための第一歩だと政府は判断したのである。なお、この際に他国の方の助言によって、施設などの購入費用が20億ほど安くなったという噂があるものの、その真相は定かではない。とりあえず、こうしてフィーブル藩国は、警察署と街灯の設置により、治安の強化を達成することに成功したのであった。

 警察署は、フィーブル藩国の新空港区、空港から近い街道沿いに建てられた。
 空港からリゾート地に訪れる旅行者の安全度と安心度を高めると同時に、そのリゾート地に訪れる旅行者を狙う犯罪者に対する防犯を目的とした位置である。共和国環状線の駅ビルも、この警察署に近い位置に建っていることから考えてみれば、フィーブル藩国政府の治安に対する自信と期待が伺えることだろう。

 こうして治安強化は成った。
(ゲーム的には、A&Sで警察署と街灯30本を藩国に建てて、交番に加えて治安度が8から47に上がった)

 リゾート地プロジェクトの次のステップは、焼け野原となったフィーブル藩国の再生。そしてリゾート地化である。
 フィーブル藩王の主導によって、藩国の焼け野原からの再生計画がスタート。焼き尽くされた大地から、無惨な瓦礫の中から、再び藩国の建物が建ち始める。結果的に、この藩王主導による再建は、フィーブル藩国に高層ビルが建つまでに至り、平行した計画である藩国の情報分野の特化にも影響を与えたが、そちらは主にフィーブル藩国のギーク誕生と共に語られることになるだろう。

 そして、ついに本格的なリゾート地化が始まった。
 フィーブル藩国は、砂漠と海に挟まれた地形のため、この美しい海岸を中心としたリゾート地化が予定された。
 まずは、旅行者に向けてホテル・フィーブルの改装が行われることになる。このホテル・フィーブルは、フィーブル藩国では老舗(具体的にはシーズン1の最初くらいからあった)のホテルであり、他国交流を意識した宿泊施設である。最上階は無料の子供用遊戯施設、一階はマジで美味いフィーブル藩国の漁港直送の魚料理レストラン、地下は大人向けの瀟洒なバーとなっていた。

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改装前のホテル・フィーブル


 このホテル・フィーブルの改装が、藩国政府の援助によって行われた。
 特徴である建物の猫頭は子供達に人気があり、壊さないで欲しいという声が多かったため、まず建物から猫頭を取り外すところから改装がスタート。ヘリポートに、日よけ付きの屋外プールなどの娯楽施設まで設置されるという、本格的に他国からの観光客を意識したホテルに生まれ変わった。そして、第1世界時間2008年11月19日。最後に猫頭が取り付けられ、無事にホテル・フィーブルの改装は終了したのであった。

 最上階は無料の子供用遊戯施設、一階はマジで美味いフィーブル藩国の漁港直送の魚料理レストラン、地下は大人向けの瀟洒なバーと、改装前の施設の他に、前述したヘリポートと日よけ付きの屋外プール、夜景が綺麗な空中回廊など。このフィーブル藩国のリゾート地プロジェクトの象徴とも言える、素晴らしい改装が行われたのであった。

 一方その頃。
 ホテル・フィーブル改装の裏では、フィーブル藩国に国営カジノの導入が検討されていた。
 実は、フィーブル藩国が荒れに荒れていた時期に、賭博が一時的に流行したのである。これは法で定められていない賭博であり、これを知るに至った藩国政府は、とりあえず全面的に賭博の禁止を行った。これには健全な賭博を嗜む国民からの反対の声もあったのだが、その時は治安強化が進められている大事な時期であったため、不安要素は出来る限り排除せねばならなかったのである。フィーブル藩国のような地味で目立たず規制の緩そうな藩国での違法な賭博、つまり闇賭博は、藩国の外から犯罪者の流入を助長させる原因にもなると考えたのであった。

 その賭博を、国営カジノとして復活させるに至ったのは、やはり、リゾート地としてのフィーブル藩国の娯楽要素の少なさをカバーしたいという政府の思惑と、簡略に言うなれば資金収入の確保を確実なものにしたいという、とても財政的な事情があったのだ。ODA支援を受けたものの治安強化に注いだ分、フィーブル藩国は他国と比べると、やはり貧乏だったのである。確実な資金源が必要とされていた。

 これは、アイドレス世界の流れでもあった。
 共和国であれ帝国であれ、これから先、いろいろと資金が必要になるだろうことは、各国における資金収入施設の設立予定を見れば分かる話でもある。(ゲーム的には、天領サイトの各国の新アイドレス進捗状況を見ると、資金収入施設の取得が20件近くもあるという話である)

 しかし、国営カジノの設立は、やはり犯罪の温床となる可能性が高い。
 藩国政府は連日会議を行って賭博法を制定。ついに国営カジノ計画にGOサインを出した。
 未成年者の利用や、法外なレートの賭けを完全に禁止して、生命や人権などの倫理的観点からみて賭けてはいけないものを取り決め、純粋にお金を使ってドキドキ感を楽しめるような、クリーンなカジノを目指すことを目標とした。

 カジノ・フィーブル。
 ここに、政府公認の国営カジノがオープンしたのである。

 お金をチップやコインに換金して遊ぶ形式のカジノだが、このチップやコインはフィーブル藩国の情報技術によって全て流れが把握されており、また定期的にクリーニングされ、時期によって型番や形状などを変化させることで、常にイカサマを防止するよう対処されている。藩国の警察機構との協力要請に、ISSへの入念な説明。カジノ利用者の入念な身体チェック。犯罪歴などの履歴チェック。電子技術による防犯体制も整えたりと、犯罪に対しては非常に厳しいチェックが行われた。未来予測能力者や、幸運絶対成功、ギャンブル絶対成功能力者などは、場合によっては入店そのものが出来ないようになっている。

 こうした内側のみならず、外側、つまり強盗などの対策も立てられている。
 電子技術を惜しみなく投入した防犯機構によって、しかし気分を害すことなく利用者は監視され、スタッフは護身術を身につけた者ばかり。スタッフには指紋声紋網膜チェックが義務づけられ、身体状況もモニタされている。ささやかな異常に対しても神経を研ぎ澄まし、事件が発生すれば3分で警官が駆けつける。こうした入念な防犯対策があればこそ、カジノは楽しく遊べるものなのである。ちなみに、スタッフの時給はだいぶいいらしい。

 なお、子供連れの利用者のことも考えて、ゲームセンターをそのままゴージャスにした感じの、未成年向けの別スペースも存在する。そちらは逆に未成年以上が遊ぶことが出来ず、換金ではなくお菓子やオモチャなどが用意され、定期的にラインナップを変えていたりするため、一部のフィーブル藩国の子供達の中ではブームになってしまったものの、こちらは18時で営業を停止したり、教師や警察が見回りをすることで防犯対策がされている。

 こうして、カジノ・フィーブルは設立された。
 フィーブル藩国のリゾート地プロジェクトが、また確かなものになったのである。

 しかし、まだ安心することは出来ないだろう。そもそも、これから増加するであろう旅行者や観光客によって、どのような問題や事件を引き起こすのかは未知数なのだ。フィーブル藩国を再建させると同時に、今度は維持しなければ意味がないのである。フィーブル藩王以下、藩国政府は、これからも国内の状況を把握して、国民や旅行者が気持ちよくフィーブル藩国で過ごせるような、そんな藩国にしなければならない。

 果たして、フィーブル藩国は元の平和な藩国に、或いは、それ以上の藩国になることが出来るのか?
 これからの藩国政府の動向に、期待と不安、希望が国民から寄せられることだろう。
 そして、まずはその第一歩として、このリゾート地が成功することを、祈らずにはいられない。



「共和国にリゾート地が出来たんだってさ」
「へー、どこの国?」
「フィーブル藩国」
 
 これを聞いて大概の人は何かの冗談かと言い、フィーブル藩国にもう少し詳しい人が聞けば無茶だろと言った。
 しかし、この話は根も葉もある紛れも無い事実であり、加えて言えば、やっている人たちは大真面目だった。
 事実は小説よりも奇なり、という奴かも知れない。

/*/

 フィーブル空港に降り立った私は、まず、警察官の多さに注目した。
 空港施設ということで警備が多いのは当然だろうが、しかし、事前に聞いていたフィーブル藩国の状況から考えると、やはり意外な光景ではあった。

 空港には、さまざまな旅行者たちがいた。
 家族連れやビジネスマン、身なりのよいセレブなご婦人まで、さまざまな旅行者を見かけることが出来る。内乱で治安が荒れに荒れたと聞いていたが、その情報が嘘だったかのようだ。そんな自分と同じように、きょろきょろと周囲の様子を見て、あれー? と思っている旅行者も多い。慣れた旅行者などは、すぐに空港からのタクシーなどを利用して、ホテルに向かっているようであった。

 私も少ない荷物を受け取ると、バスに揺られながら、宿泊先であるホテルに向かうことにした。
 新聞を見る限りでは、天気は悪くないらしい。酷い事件も、ここ最近では減少傾向にあるようだ。

 バスの窓からは、街路に立ち並ぶ街灯と、小さな広告板が目に移った。
 広告板には、「今日と明日のフィーブルを守る、警察官募集」の張り紙が、風に揺れている。

 ……私が利用するホテルは、ホテル・フィーブルという、海岸に立つ老舗だった。
 フィーブル藩国の海岸は、内乱が起こる前に訪れた頃と変わらない美しさで、私に深く息を吐かせた。
 蒼穹を彩る白雲。紺碧の波が、海岸の砂浜を優しく撫でるように、寄せては返すこの光景、この波の囁きよ。
 フィーブル藩国の海を、目と耳で楽しむには、ホテル・フィーブルは本当にいい位置に建っていると私は思う。

 そしてホテルに到着して、私は驚いた。
 なんとホテル・フィーブルが、目を見張るような立派な建物に改装されていたのだ。

 いや、改装されたというのは聞いていたのだが、しかし、なんとも驚いたものである。
 ふと見上げれば、ヘリコプターがホテルに着陸したりもしていた。なんということだろうか。

 驚きながらもチェックインを済ませた私は、ホテルの地下に向かった。
 ホテル・フィーブルの地下にはバーがあるはずである。このバーで一杯引っ掛けて、旅の疲れを癒すというのが私の常だったのだ。改装によって潰れていないか心配だったのだが、昔なじみのバーは、ちゃんと私の知るままの姿でそこにあった。安堵する。こちらも改装はされていたが、しかし、懐かしい空気を私は感じていた。

 そして、私はあることに気づいた。
 しばらく訪れていないうちに、バーに、ポーカーテーブルが設置されていたのである。マスターに話を聞いてみると、最近のフィーブル藩国でのカジノ流行にあわせて設置したものらしい。賭博法があるため高レートは無理なのだが、政府のチェックによって政府公認賭博指定を受けているため、ちゃんと小銭で遊べるらしい。最近オープンした、カジノ・フィーブルとかいう国営カジノの影響だよ、とマスターは語った。

 以前キープしたボトルが、内乱を経ても残っていた感激からか、嗜み程度にポーカーをやってみることにした。
 幸運にもスリーカードが出た。あいにく少々の報酬は酒代に消えたが、しかし、それほど流行しているというなら、ここはそのカジノ・フィーブルにも足を運ぶ必要があるだろう。

/*/

 失敗した! 見事に失敗した!
 そう素人が賭け事で勝てるわけがない、ということだった。

 酒が抜けるのを待って、夜半からカジノ・フィーブルに繰り出したのだが、見事なまでの惨敗を喫することになった。
 無論、私とてタダのアホでもなければ無限の金持ちでもない。当初は勝ったり負けたりしながらゲームを楽しんでいたのだが、運良く勝ちが続けば気を良くし、大きく賭けて大きく負ける。今度は負けないように小さく賭けていけば大勝ちを逃し、大きく賭けずにはいられなくなる。

 いやしかし、賭博というモノはよく出来ている。
 そのシステムに感服しながら、私はカジノ・フィーブルの様子を頭の中で振り返った。

 カジノ・フィーブルでは、ファミリーゲームとして楽しめるモノを中心に、さまざまなゲームとレートが存在する。
 ポーカーを始めとするカードゲームから、スロット、ルーレット、他にも麻雀(サンマも有り。猫の国だからか?)まで、古今東西、多種多様な遊戯の場として、にぎやかにカジノ・フィーブルは営業していた。

 これほど賭博が流行した背景には、フィーブルが賭博関連法の整備を行い、賭博を事業として成立させるだけの後押しをしているという現状がある。治安が悪化した当時、裏で流行していた違法スレスレ、或いは間違いなく違法と言えただろう賭博を、法整備により国家事業の新たな柱にまで押し上げたのだ。ふと思えば、カジノを利用している方々には、妙に目つきの鋭い、その道の人物も少なからず見受けられたように感じる。

 そんなことを思い出していた時だった。
 私は、夜道で泣いている一人の迷子を見つけ、交番まで送り届けることになった。
 交番の警察官に話をしてしばらく。迷子の母親が現れ、無事に迷子は親元へと帰ることになった。どうやら他の藩国からやってきた旅行者で、不慣れな土地で困っていたようだ。

 そんな様子を見て、ようやく私は、治安の回復を実感として得ることが出来た。
 個人的な出来事ではあるが、明日からの旅行費の心配も忘れて、私は意気揚々とホテルに帰還することに。

/*/

 翌日。ホテルの朝食がバイキング、かつ前払いであることに心底感謝した私は、新鮮な魚料理を腹いっぱい詰め込んだその足で、オアシスの近辺へと足を運んだ。

 向日葵が咲く湖畔を、しばらく北に歩くと、別荘地として分譲中の区画がある。
 知人である個人投資家は、ここに別荘を持っているらしい。今日はそこに向かう予定だった。完備されたナショナルネット回線を利用して株式投資をしながら暮らしているとか。

 ……さて。知人の別荘を訪れた私だが、なかなかに満足だった。
 景色も良く、ハイテク環境も整っている。オアシス近辺は重要な国有地や農業区画もあるため、警備も万全。
 フィーブル藩国の高い電子戦技術は、高度な情報技術、情報精度と安全性を保持しており、大きな藩国といった都会の喧騒とも無縁で、時折吹く砂漠の風さえも、慣れれば風流だという話でる。また、システムに不備があればすぐ来てくれる業者もいくつもあるらしい。

 空調の整った室内は確かに快適で、先日、この国の畑で取れたばかりと言う新茶を頂き、昼食までご馳走になってしまった。NACへの参加やリワマヒ国との貿易の影響で、だいぶ食糧事情も改善されたようだ。

 今日の新聞を読ませてもらい、くつろぐ事、しばし。
 昼下がりを過ぎて暑さも和らいだ頃を見計らって、宿泊を勧める知人の誘いを辞した私は、この国の中心地区へと足を向けた。それが旅の最後の目的地だった。

/*/

 行き付けの喫茶店でコーヒーを頂く。
 この街角にある喫茶店は、中心地区において営業している小さな喫茶店であるが、品揃えと味には定評がある。
 主として、紅茶の産地であるフィーブル藩国において、おいしいコーヒーを嗜むには外せない場所である。

 ここの名物マスターとも、しばらく歓談する時間を得ることが出来た。
 私は、昨今のフィーブルの変容について、興味深い話を伺うことが出来たのである。

 大量の街灯設置、警察署の建設と警察システムの完成による爆発的な治安の向上、賭博事業をはじめとする観光産業への注力、リゾート化計画……実質傾いていたフィーブルと言う国に行われた様々な施策。そしてそれによる変化。

 その大きな変化を、歓迎するもの、変化に戸惑いを隠せないもの、感じ方はそれぞれ大きく違いがあると言う。

 しかし変わらないものもある。そうマスターは言葉を止めて、店内を見渡した。私はそれに釣られて振り向く。
 楽器を奏でるサイボーグの詩人、それに耳を傾けながら歓談する猫達。ストーブの修理を終えた整備士がカウンターに戻ってきて、ふと気がついたように手を洗いに行った。政庁での作業が終わったのか、宮仕えの猫士達が店にやってきて各々注文をしている。

 私がマスターに視線を戻すと、マスターは小さく笑い、珈琲のお代わりと、小さなケーキを出してくれた。
 もう金がないと狼狽えるうろたえる私に、サービスだと言ったマスターは、続けて新作だ、と小さくケーキを勧めた。
 確かに、今までこの店で口にしたことの無いような味だった。だが旨い。しかも、飲みなれた珈琲と良く合う一品だった。

 この国もそんなもんじゃないか、と笑うマスターの含蓄あるお言葉も堪能し、私はエプロンをつけた店員に財布の中にあった金銭を全額支払うと、店を後にして、依頼人(クライアント)のところへ向かった。

/*/

「ああ、よく来て頂けました。どうでしたか? フィーブル藩国は」
 その依頼人は、私を笑顔で自社ビルに迎え入れた。
 ビルには、フィーブル新聞社、と言う真新しい看板が、掲げられていた。
 
 私が今回の仕事の報告を終えると、彼は満足そうに頷いた。
「やはり貴方に今回の仕事をお願いしてよかった。藩国の中にいると、見えないこと、分からないこともありますので。貴方のような、国外の方に見ていただけて本当に良かった」
 繰り返し感謝を述べる依頼人と少々の歓談の後、私は帰国の途に着こうと席を立つ。名残惜しいが、そろそろ最終便の時刻が迫っている。財布の中に残された最後の紙切れ、つまり帰国用のチケットに記述されたこの時間を逃すと、恥ずかしながら帰国すら危うい。

 見送られた帰り際、そんな話を漏らした私を、依頼人はやはり笑顔で呼び止めた。
「どうでしょうか。 もし貴方さえよろしければ、今後も我が社の特派員として雇われて頂けませんか? 貴方のような方の協力が得られると、とても心強いのですが」
 もしかしたら、彼は最初からそのつもりだったのかもしれない。

 砂漠の空を見上げると、満天の星空と月。そこに、今回の旅の思い出が脳裏を過ぎる。
 そうして私は苦笑して、取り敢えず取材料の請求をさせて頂く事にした。



イラスト:フィーブル
文章:へぽGS
文章:戯言屋

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