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zoom RSS 燃料精錬所(施設)

<<   作成日時 : 2008/12/22 17:58   >>

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燃料精錬所の様子。円柱上のものは燃料タンクである


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油田地帯から伸びるパイプラインの様子




L:燃料精錬所 = {
 t:名称 = 燃料精錬所(施設)
 t:要点 = 燃料精錬所,燃料タンク,パイプライン
 t:周辺環境 = 油田
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *燃料精錬所の施設カテゴリ = 国家施設として扱う。
  *燃料精錬所の位置づけ = 生産施設として扱う。
  *燃料精錬所の特殊 = 毎ターン生産フェイズに燃料+20万tされる。
 }
 t:→次のアイドレス = 新素材の開発(技術),消防士(職業),ブラック(ACE)




 フィーブルで最も安定した職とは何かと言われれば、それは燃料業者であるといえる。
 フィーブルでも最古といわれる国家事業は各種燃料の採掘であり、元々フィーブルと言う国自体が砂漠に埋まる貴重な資源、物資の採掘を目的として発展した集団国家である事からしても、この事業が、いかにフィーブルと言う国家に密接に関わっているかをうかがい知る事が出来る。

 燃料採掘は、フィーブルと言う国よりも古い事業であるわけだ。
 小国であるフィーブル藩国は、この燃料の採掘を柱として発展してきた国家であるが、しかし、というか、だからこそ、というか、この事業は安定こそすれ平穏ではない。

 トラブルに見舞われ、燃料生産施設が破壊される事、4度。国家事業ということで、壊れては再建される事が続いていた為、労働者が職を失うという事態にこそならなかったものの、一歩間違えば身の危険もある職業である。

 こうした経緯から、平和で豊かな時代には燃料関連施設の職員の人気も落ち目になっていた。
 フィーブル藩国としてもある程度のシステムは機械化した上で、出来る限りの安全の確保、そして労働者の削減によるヒューマンミスの抑制など、「効率的」なシステムを構築してきた。

 しかし、その効率的なシステムは、フィーブル藩国の、そしてアイドレス全体の情勢の変化に、いささか伴わないモノとなりつつあった。

 端的に言えば景気の、具体的に言えば情勢の悪化。不況の煽りを受けて多くの産業が衰退し、フィーブル藩国は大変な窮地に立たされていた。これに対しフィーブル藩国側は、かねてより計画のあったリゾート地の造成やそれに関する事業により、新たな雇用を確保し、産業を発展させる事で対処した。

 しかし、観光産業による雇用の増大は、安定化が難しい。
 安定した職種として再度着目されたのが、燃料関連施設による雇用の確保であった。

 フィーブルの燃料精錬施設は、前述の通り少人数化された効率的なシステムとして設計されてきた。このシステムでは、労力コストに対してリターンが吊りあわないとして切り捨てられた「無駄」が少なからず存在した。

 具体的に言えば、精錬作業から得られる燃料量が、精錬に費やすコストに吊りあわないとして廃棄されていた、質の悪い燃料が存在したのだ。小国としてはある意味当然の選択であった。

 だが幸い、人員は余っている。この人的コストを割り振る事で「無駄」を「有益」に振り分けられないか?

 燃料は市場で余るくらいで丁度良い。大動員をかければいくらでも消費出来る。
 特に、フィーブル藩国自体、情報戦を本気でかけようとすれば燃料100万tを軽く吹っ飛ばす事が出来る。
(無論そんな事を実行しようとすれば、先に飛ぶのは編成担当の首だろうが)

 非効率的な作業で、非効率的な事を可能にする。効率が叫ばれる時代において完全な時代逆行であり、ある意味それは、力技の計画であった。



「おい何度言ったらわかンだ! 合図したら一気に引き抜けって言ってんだろうが!」
「す、すいません」

 燃料精錬所で、ガタイのいいおっさんに怒られる日々に、さすがにちょっと萎え始めた最近である。
 自分もガタイや体力には自身があり、逆に頭も顔も良くなかった。最近流行のリゾートで働くとか、ハッカーやギークで情報戦とか、そういうのにはとんと不向きであった。

 となれば警察官にでもなろうか、と思ったのだが、筆記試験で落ちてしまった。
 警察の筆記試験はそんなに難関と言うわけでもないと聞いていたのに、これは酷い。主に俺の頭脳が。

 そんな俺だが、新しく出来た燃料精錬所で募集が入り、「皆はじめての職場です、仲良く楽しく働こう」みたいな張り紙にホイホイと吊られて、この燃料精錬所で働く羽目になってしまったのだ。

 幸い、精錬所は油田地帯からパイプラインで繋がった海岸に程近い場所にあり、砂漠のど真ん中とも揶揄されるダイハラン油田よりは大分マシな通勤環境が整っている。昼休みには新港地区の上手くて安い定食屋に繰り出して、大好きな焼き魚定食を御飯大盛りにしながら、定食屋の看板娘ちゃんとちょっと良い雰囲気になってみたりも出来る。

 だが。実際の仕事と言えば結構キツイ。
 パイプラインからタンクに注ぎ込まれた原油を材質ごとに分類するのは、ハイテク機械には任せられない人の手による職人芸だ。無論この前まで無職(ニートではない)であった俺にそんな職人芸は出来ないので、その職人芸を行う中年の職人、つまり前述のガタイのいいおっさん達を、若い体力でフォローしてやるのが仕事になる。

 何十もある沈殿タンクで沈殿した原油をパイプ手作業で上から吸い出すのがおっさん達の仕事で、俺たちはそれに使うクソ重い吸油パイプを引きずりまわしながら、おっさんに手渡し、いざ吸油となればしっかりパイプを支えなくてはならない。

 さらにはおっさんの合図で素早くパイプを引き戻さないと、違う質の原油が混じってしまう。
 原油はかなりの勢いで吸い出される為、ちょっと失敗しただけでもトン単位の損害が発生してしまうのだ。

 ……で、冒頭も引き戻しのタイミングが遅れて、おっさんにドヤされたわけである。

「俺たちが若い頃はもっとシャキっとしてたぞ、シャキっと。おっと、次のタンクの時間だ」
「う、うへぇ」

 しかしこのおっさん、本当に俺たちのフォローがいるんだろうか。
 そりゃ大分年は食っているようだが、気力体力充実ここに極まれり、みたいな超人ばかりのように見える。
 
 このおっさん達が何でこんな技術に習熟しているかと言うと、この人たちは今のダイハラン油田が建造される前に油田で働いていた、古い労働者達であるそうだ。つまり、この人たちの世代にはこういう手作業精錬が普通だったってわけ。全く、俺たちには想像できない世界だ。

 油で汚れた階段をえっちらおっちら上り、タンクの上にたどり着く。

「よーし準備いいな。こういうのはな、機械のメーターだの、合図に頼ってちゃ遅ぇ。それに原油はその時その時で質が違う、いい質の時はいい部分が、悪い質の時には悪い部分が多いんだ。それを判断するのはてめぇの頭に2個引っ付いてる目だ」

 何度も言われた事をもう一回言われる。しかし、素人の俺にはそんな見た目で判断なんて高等技術はさっぱりだ。
 仕方なく、おっさんの反応、合図を注視しながら、それに合わせて引っ張るのだが、遅かったり早かったりで怒鳴り散らされている。
 無論そんな事を言ったらまた怒鳴られるので、黙ってはいるが。

 吸油が始まる。
 しばらくは特に変化も無く、タンクの中から原油の上澄みが吸い出されていく。
 ぼーっとするわけにもいかないが、特に何をするわけでもなく、重い吸油パイプをしっかりと支えるだけだ。
 おっさんを見ると、こちらはじっとタンクの中を見つめたまま動かない。仕方なく俺もそれに倣う。タンクの中にも大した変化は見られない。吸油パイプのモーター音だけが耳に入る。

 原油の色が次第に濃くなってくる。しかしこれはブラフだ。上澄みが少なくなってきて、下に沈殿した別の質が見えてきただけに過ぎない。引き上げ準備は必要だが、それ以上ではない。ヘタにパイプを動かすと原油がかきまぜられて作業中止にもなりかねない。

 それくらいは素人の俺でも分かる。問題はこの次。いつ実際に引き上げるか。何週間か働いて、未だにここに俺の結論は出ていない。秒数を計ろうかとも思ったが、おっさんの合図はいつも違うタイミングでくる。おっさんの合図がいつ出るかで反応しても遅いし、合図だと勘違いしてヘンなタイミングで引き上げるわけにもいかない。

 俺はまるで公開処刑を待つように、じっと待った。

「上げろ!」

 おっさんの一声と同時に、渾身の力でパイプを引き上げる。
 原油の色は変わっていなかったが、何というか、ここで合図があるだろうなーというおぼろげな確信みたいな、そんなものがあった。

「よーしよし、お前も少しは使えるようになってきたな」

 は? このおっさんは何を言っているんだ。
 全く色が変わっていたようには見えなかったし、もし今のが偶然タイミングが良かったとしても、運とかカンとか、そういうのに恵まれただけだ。

 俺はおっさんをだますようで悪い気がして、正直にそれを告白した。
 だがおっさんは、俺の決死の告白を聞いて、ガハハと盛大に笑うのだった。

「ばっかおめー、見習いが目で判断できるわきゃあねーだろうが」
 俺は最初、おっさんが何を言っているのか判らず、判った時には抗議していた。

「だっておっさん、目で判断しろって言ってるじゃねーか!?」
「そりゃー、目で判断出来るのが一番だ。だがよ、何が正解か迷ってるうちは、目で判断してちゃ遅い。だからカンで当てろ」

 そんな無茶な。

「そりゃー、見習いのうちじゃカンでも10回に1回当たるかどうかだろう。それが、そのうち、8回に1回、5回に1回は当たるようになる。それが3回に1回、2回に1回当てられるようになりゃ、お前のカンも中々頼りになってくるじゃねーか」

「2回に1回でも5割しかあたんねーじゃねーか……あ、いや、ないっすか?」
「2回に1回カンが当たるようになりゃ、後の5割は目で補えるようになってるだろうよ。それが『経験』ってモンだ」

 だが今まで散々目で判断しろと言っておいて、カンで当てろと言うのは無いだろう。俺が必死に目を凝らしていた数週間を返して欲しい。

「いいか若いの、カンは養えねぇ。だが目は養える。最初はカンだっていい。だが養うのはてめぇの目だ。カンで当てた正解を、目ン玉に焼き付けとくんだよ。いいな」

 さっぱりわからん。目で判断しろといわれたり、カンで判断しろと言われたり。最終的にはどっちも使えと来たもんだ。
 首をかしげる俺に、おっさんはニヤリと笑って言う。

「そのうちわかるさ」
 おっさんはいつに無く気分良さそうに降りていく。終業ベルが鳴り、今日の仕事はここまでだ。

 翌日は、8回に1回は当てられるようになっていた。



イラスト:おおとり
文章:へぽGS

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