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zoom RSS 食糧生産地(施設)

<<   作成日時 : 2009/01/14 00:33   >>

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麦畑

育成中の食糧の様子。かなりの収穫が見込まれる予定だ。




L:食糧生産地 = {
 t:名称 = 食糧生産地(施設)
 t:要点 = 食料,育成中の食料,生産地で働く国民
 t:周辺環境 = 食糧倉庫,食糧生産に向いた地形
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *食糧生産地の施設カテゴリ = 藩国施設として扱う。
  *毎ターン食料+15万tされる。
 }
 t:→次のアイドレス = 神殿(施設),農業機械(施設)食糧倉庫(施設),猫神(にゃんにゃん共和国のみ)(職業)




 黄金の砂漠に、黄金の稲穂が揺れていた。

/*/

 大規模灌漑。およびそれに付随する食料生産地の造成は、フィーブル藩国という国において、色々と込み入った事情から生まれた。

 この国は混乱している。
 藩王、いや第七世界人の政治を信用出来ぬと、クーデターを起こした者が居た。
 荒れた治安に愛想を尽かし、国を去ったものが居た。
 どこからか現れた偉人を王とし、忠誠を誓った者が居た。
 国に残った者が居た。
 帰って来た者も居た。

 彼らは、心も、気持ちもバラバラで。
 そこにあったのは、純然たる利害の一致であった。

/*/

 さて、フィーブル藩国の食糧事情は深刻であった。
 元より砂漠のオアシスの国。自給自足分の食料を生産するのにも必死と言う状態。
 多くの食料は近隣諸国との交易で賄っている。

 平時ならそれでも良い。
 しかし市場が停止し、外交面で問題が出るような状態にあって、即座にフィーブル藩国は飢えた。
 その上で共和国の危機とあらば、戦争動員もかけねばならぬ。加えてこの国は、外貨獲得の為に、最後の頼みの綱とばかりに観光産業の復興を計画し、これでもさらなる食料が必要になった。先頃の絢爛近郊世界侵攻作戦においては、無名騎士藩国から緊急の食料供与を受けての動員が行われている。

 食料余りといわれる程の時代において、フィーブル藩国は飢えていた。
 食料が無くて滅亡しかけるくらいには、飢えていた。

 それが大問題というほどの大問題にならなかったのは、この国の滅亡の危機というのは、毎ターンのように良くある話で、みんな慣れきってしまっていたからに他ならなかった。

 この国、何が起こっても滅亡しそうになる国である。
 だが、何故か未だに、フィーブル藩国は滅亡していなかった。

/*/

 黄金の砂漠に、黄金の稲穂が揺れていた。
 それをフィーブル藩国の国民が見つめていた。

/*/

 大規模灌漑事業というのは、元より構想としては存在していた。
 水の不足する国で、水を効率よく、豊かに利用する事が出来るようにするものである。

 水を治める者は人を治めると古来より言い、古来の執政者が水と戦いを繰り返したのと同じように、フィーブル藩国も常に水との戦いを行っていた。

 元より砂漠のオアシス、かつ工業国である。
 機械を生み出す為、工業を成り立たせる為に必要な大量の水は、フィーブルが苦節の末に生み出した海水をろ過する技術によってまかなわれていた。フィーブル藩国は砂漠において、工業を興し、そして水に乾く事は無くなったが、それは肥沃な農地を生み出す事には繋がらなかった。

 単純に水だけでは、黄金の砂漠と赤銅の荒野は緑地と化さないのだ。
 川が流れ、水が氾濫し、そして上流から運ばれた肥沃な土が、農地に流れ込む。これを繰り返す事で、大地は新たな生命を生み出す土壌として生まれ変わる。そう、フィーブル藩国が田畑を作り上げるには、食糧生産に向いた地形になるには、どうしても川が必要だったのだ。

 しかし、藩国地図に川を描くというのは、言うほど簡単な問題ではない。
 何しろ川が無いのだ。川を生み出す為には、はるか彼方の水源より水を引かねばならない。
 まさに国家規模の、否、小国フィーブル藩国にとっては、国家の規模すら超えた大事業であった。

 無論のこと、フィーブル藩国に地質学等、専門の研究者がいるわけでもない。
 この計画は、長い間、暗礁に乗り上げていた。

 これを現実的なレベルの計画へと作り上げたのが、かの孔明と呼ばれる流浪の王だったとされる。
 この孔明という男は、内乱極まる頃のフィーブル藩国に現れて、国民の意思をまとめ、善政を敷いたとされる。される、と言うのは、実際のところ彼がどういう人物で、どういった政策を行ったかについては、明確な記録が残っていないからだ。ただ人々は言う。それは善政だったと。

 この大規模灌漑計画に対しても、多くの人々が、これは孔明の仕業、もとい孔明先生の策だ、と言って、それを否定しなかった。実際に孔明は、この大規模灌漑計画を実行する執政者に対して一通の信書を残したとされる。

 以下、フィーブル藩国摂政より公開された、全文を引用する。

”この信を受け取ること、まずは民を考えた上での施策と存じ上げる。”
”その心こそが、国を治める上での肝要なり。武帝、良く武力を用いるも、この肝要十分ならずんや、賢帝とはいいがたし”
”民を借りた一つの置き土産に、河の流れを返し候”
”もって自ら鍬を持ち、畑を耕し、天の恵みを民と祝えば”
”しかるのちに巨人の足で西へ3000歩歩き、大切なものを取り戻されよ”

 この信書を受け取ってしばらくの後、フィーブル藩国に川が流れ始めることになる。
 それは孔明の残した策だったのであろう。まるで魔法のようだが、実は孔明の指示によって国民達が川を流すために密かに動いていたのかも知れない。詳しい詳細は不明だが、ともかく善政を行った男は、砂漠の小国さえも食糧生産に向いた藩国に変えてしまうような存在だったことに、改めてフィーブル藩国政府は孔明に対して畏敬の念を抱いたという。

 信書の最後の行の意味するところ、その解釈は人それぞれで結論こそ出なかったが、ともかくフィーブル藩国は、この大規模灌漑計画および、それに付随する食料生産地の造成に、全力を挙げて取り組むことになった。実際のところ、さまざまな面で切羽詰っていたので、やれることは何でもやり始めていたのである。当たるか外れるかは、二の次であった。

 多くの人々が、この考えには同意していた。
 のんびり反対できるほど豊かな国民は、あまりいない国だった。

/*/

 黄金の砂漠に、黄金の稲穂が揺れている。
 フィーブル藩国の国民の多くが、その光景を見ていた。

 川があった。すくすくと育つ作物があった。収穫された食糧があった。食糧を貯蔵する食糧倉庫が建設された。
 この食糧倉庫は、なかなか気候の厳しい西国であっても立派な食糧貯蔵庫として機能し、これから長い時を、食糧生産地で働く国民達と共にすることになる。

 この食糧生産地で働く国民達は、みな誇らしげだった。彼らこそは元からこの砂漠の小国で、少なからず農業を営んでいた者達である。そしてニューワールドの歴史上、合併していない西国人国家では最初の食糧生産地で、最初にそこで育った食糧の収穫を行った者達なのである。これが誇りでなくてなんであろうか。

 そう。このフィーブル藩国で収穫されるのは、ただの食糧ではない。
 その食糧は、その存在自体が、もはやフィーブル藩国という国家の誇りなのである。

 食糧生産に関わっていない者達も、この結果には驚きを隠せなかった。
 これから生まれてくる次の世代の国民達は、きっと黄金の稲穂を見て育つことになるだろうから、驚くことが出来るのは今ここにいる国民達だけの特権だろう。

「……まるで、リワマヒのようだ」
 誰かが、共和国最大の食糧生産地の名を出した。

「いや、キノウツンに似ている。同じ北海島だからな」
 緑地化に先立って成功していた、隣国の名を出す者がいる。

「いや、これがフィーブルだよ」
 誰かが言った。その言葉に皆が自然と頷いていた。

 黄金の稲穂の海を朝日が照らす。
 夜明けは近い。
 誰もが、少なくともこの瞬間だけはそう思っていた。
 そこにあるのは利害でもなんでもない、純然たる一致した心であった。



イラスト:フィーブル
文章:へぽGS

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