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zoom RSS 外伝:舞台裏、薄光の心

<<   作成日時 : 2010/03/08 03:12   >>

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 大凡殆どの人々が眠りに就く深夜、他に光源の無い室内を一基のモニターが照らしていた。ここはフィーブル重機の開発室である。狭い部屋なので、少々頼りない、そもそも用途が違う光源でも部屋を見渡す事はできた。

「で、どう?」

 音も無く燃える瞳の傭兵が部屋に入ってきた。手に持った御盆のカップからは、ティーバッグの糸が垂れている。

「やはり、ぶっつけ本番。出荷されるまでは何とも言えん」

 いつも通り白衣の開発者は、御盆から、カップを取って一口。ちなみに可愛い豚さんのカップである。

「安価で、カタログスペック通りの性能だったらまずい。対弾性無視と言っても、瓦礫に押しつぶされない強度を有していると考えれば、旧式のI=Dより剛性が高い。そして、足が遅い訳でもないし、重機として使えるだけのパワーもある。つまり、安価過ぎると、民間に武装を持ってないだけの軍用I=Dが出回るのと同義だ」

 新型I=Lの兵器転用の可能性に関する二人だけの会議であった。

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 レスキューマシンの存在目的とは、何か? それは一言で言えば、『人命救助』に他ならない。
 ミリタリーマシンの存在目的とは、何か? それは一言で言えば、『人命殺傷』に他ならない。

 両者とも、その根底にある思想は『誰かを守る事』であるはずなのに、その手段は悲しい事に真逆である。

 フィーブル藩国が誇るスーパーロボット自由号はどうか?
 そのカテゴリーは全自動消防対災害救助システム……消防車である。だが、ここで言う火とは戦火の事であり、この機体は、起きてしまった戦争を武力で持って消火する事を目的としているのである。つまり、消防車というのは比喩表現であって、その運用思想は圧倒的武力で火種を殲滅する事により、戦争を終わりにするというものなのである。
 つまるところ、自由号と言う機体の存在目的は、ミリタリーマシン……I=Dの最たる例であると言えるのだった。その一撃は、間接的に多くの人の命、心を救う事になるだろう。それはフィーブルの本懐でもあると言える。

 だが、そう、自由号は『I=D』なのである。死を振り撒き、死を肩代わりする存在なのである。人命救助を行う装備は本来不要な物で、オマケとして付いているだけの使用機会にすら殆ど恵まれない物だったのだ。

 故に遊闇遊夜は、I=Lと言う物の開発が行われると知った時、それを作る時、その余分を切りだして、I=D自由号の対となるI=L……究極の『真のレスキューマシン』を作ろうと考えた。民生用I=DであるI=Lにとって、これ以上ないほどに相応しいテーマであると考えた。

 だが、ここで問題が浮上した。レスキュー機器は、一応民生用に分類される機器ではあるが、特殊用途の名の通り、当り前ではあるが一般家庭で使用される物ではない。一分一秒が『人命』に直結する環境で使用されると言う点において、それは兵器と同一なのである。最新のテクノロジーや扱いを間違えば用意に凶器に成り得る装備が搭載される事は避けられない事で、自明の理であると言えたのだった。

 その結果、これが民生用として開発されると何が起きるかと言うと、最新のテクノロジーが民間の比較的目に触れ易い場所に出回る事になるのである。それが平和で平和でしょうがない世界なら良かったが、何時戦乱が起きるとも限らないNWであったなら、何時現実的な問題として立ちはだかってもおかしくないという事が容易に想像できたのだ。

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 結局のところ、ワールドシミュレーターでも使わない限り、全ては予測の域を出ない。
 故に、今二人にできる事は、唯祈る事だけであった。

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特殊用途I=L/ゼファー
「そう、こいつの名はゼファー。豊作と幸運を呼ぶ希望の西風の名だ」 ◆デザインコンセプト 一、自由号が元凶を打ち抜く矛であるとするなら、本機は起きた災いを消す盾である。常時稼働する事が困難な自由号の災害救助関係能力の現実的な範囲での稼働を目指す。 ...続きを見る
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2010/03/08 03:37

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