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<<   作成日時 : 2010/04/16 06:14   >>

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ぶっちぎりバトルハッカー

これが新しいハッカーの姿だ!
フィーブル藩国の情報戦歩兵部隊、バトルハッカー!
合言葉は、「ぶっちぎりだぜ!!!」




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簡単な目次:

<バトルハッカーの概要>
<SS1:ファーストインパクト>
<バトルハッカー計画の経緯>
<バトルハッカーの人材について>
<SS2:集いし者達>
<バトルハッカーの訓練と教育(根源力制限15万相当)>
<SS3:バトルハッカーの訓練風景(1)>
<SS4:バトルハッカーの訓練風景(2)>
<SS5:バトルハッカーの訓練風景(3)>
<バトルハッカーの装備について>
<バトルハッカーの運用想定>
<SS6:ぶっちぎりバトルハッカー>



<バトルハッカーの概要>

 バトルハッカーとは、フィーブル藩国の正式な情報軍に所属する、新たな情報戦歩兵である。
 これまでのフィーブル藩国の情報戦技術の粋を結集した、情報戦および対情報戦に特化した情報戦歩兵であり、TLOに頼らず、今後フィーブル藩国で発生するであろう高度な情報技術による悪質な犯罪や、国際的な電子犯罪の解決、そして戦争において決して負けることが許されない情報戦を、ぶっちぎりで勝利することを最大の目的として結成された。

 バトルハッカーは、ハッカーやギークの中でも、極めて高い情報戦の技能や知識や経験を持った者から選出される。
 ネットの広大さと自由を愛し、金や損得では決して動かない彼らは誇り高く、それ故に情報軍の正式な情報戦歩兵でありながらも性格に難のある人間が多いが、しかしその胸には、決して消せない熱い魂を抱いてる。そんな彼らバトルハッカーの合言葉は、「ぶっちぎりだぜ!!!」 電子の海の悪党共を、今日も彼らはぶっちぎる―――!



<SS1:ファーストインパクト>

 それが間違っていることは知っていた。
 しかしそれでも、俺達の魂が叫んでいたんだ。やっちまえ、やっちまおうぜ、と。

 そいつらと実際に会ったことなんかねえよ。どいつもこいつも気に喰わない奴らだったが、しかし俺達は同じ魂を持っていると、何となく理解はしてたんだ。理屈じゃねえぜ、こんなのは。そして俺達は、雨水が川を流れて海に行くような自然さで、チームを組んでプログラムを構築して、俺達だけの力で、電子世界を通して犯罪者や悪党共の掃除を始めたんだ。

 それが法に触れる方法だということは分かっていた。別に正義を名乗るなんて、そんな柄じゃねえことは分かっていたが、それでも俺達は、やっちまえ、あいつらやっちまおうぜと、己の魂が叫ぶままに振る舞ったのさ。俺達は誰からも自由で、きっとずっと遠い昔から、そんな風に生きてみたかったのかも知れない。

 そんな、ある夜のことだった。
 今でもはっきりと、あの夜のことは覚えている。

 馬鹿な小悪党の不正の証拠を掴んで、いつものように警察にデータを送信した俺は、いきなり部屋の外から高笑いがしたんで、窓を開けて驚いたのさ。隣の高層ビルの屋上からだった。切り抜いたみたいに綺麗な月を背負って、夜の闇の中で、奴が俺を見下ろしていたんだ。腕を組んで、厳しい眼光が俺の両眼を貫いていた。

??:「いい腕だと褒めておこう。熱き血潮の命ずるままに、振り返りもせず駆け出した衝動」
??:「されど時に傷つき迷いながら、それでも何かを求める少年の眼差し……人、それを若さという」

少年:「テメエ……何者だッ!?」
??:「貴様に名乗る名は無い!!」

 跳躍。
 そいつは俺を蹴り飛ばすと同時に、窓から室内に突入した。俺は受け身も取れず吹っ飛ばされて、パソコンが置いてあるデスクに激突する。被っていた野球帽が、遅れて床に落ちた。混乱と、何より怒りでカンカンに火が付いた俺は殴りかかったが、しかし俺の拳はかすりもせず、次の瞬間には組み伏せられていた。明らかに戦闘訓練を受けた人間の動きだった。

少年:「ぐっ……テメエ警察か!?」
??:「いいや違う。俺は電子世界のフェダイーン。己が誇りと自由を賭けた、もはや名も無きバトルハッカー!」
少年:「くそっ。それで俺を捕まえに来たってわけかよ!?」
??:「それも違う。なぜならお前は、俺の教え子となるからだ!!!」

 ああ、そうさ。
 そいつが俺と、俺の教官になる男との出会いだったんだ―――



<バトルハッカー計画の経緯>

 情報戦部隊の運用が最も成功したターン14も今は遠く、情報戦国家が敵の容赦ない攻撃にさらされた、ターン15。
 ニューワールドの情報戦の戦況は深刻であった。情報戦難易85という想定以上の敵の情報戦を前に、辛うじて越前藩国が善戦したが、しかしその越前藩国も、ターン15末からターン16にかけて、度重なる敵からの攻撃(およそ4回)を短期間で受けることとなった。情報戦に秀でており、文殊管理人として名高いの越前藩国の黒埼鉱摂政も、敵のTLO級の毒とナイトメアの被害に遭い、今現在、意識が戻らない状況であるという。

 ターン16の帝國のポチ皇帝の施政方針表明によれば、情報戦国家を狙うということは、それが敵の弱点である可能性があるとのことだが、ニューワールドで情報戦を実戦で勝てるレベルで投入できる藩国は、越前藩国と、電子妖精が防御に特化したレンジャー連邦を除けば、フィーブル藩国だけである。フィーブル藩国における情報戦能力の強化は、ニューワールドにおける敵の弱点を突く意味もあって、急務であった。

 すでにフィーブル藩国政府は、フィーブル藩王の許可の下、ターン15での汚名を雪ぎ、ターン16における情報戦の勝利を目指して、情報戦能力の強化をスタートさせていた。具体的には、新素材とウイザードヘッドセットの開発、そしてバトルハッカー計画と情報士官の育成である。まず最初に、新素材の開発によるG3ファイバーと、ウイザードヘッドセットの開発を完成させて、続いて現在、情報士官の育成と平行して、情報戦および対情報戦に特化し、これまでのノウハウや技術を総結集した、新しい情報戦歩兵による正規部隊の育成を開始した。

 電子妖精、電子の女王、新素材の開発、ウイザードヘッドセット、大型PCや超大型PCなどを使いこなし、ニューワールドにおける敵との情報戦および対情報戦に勝利するための人材の育成。 ……これが、バトルハッカー計画である。



<バトルハッカーの人材について>

 バトルハッカーは、情報戦および対情報戦に特化した、新しい情報戦歩兵である。
 簡単に言ってしまえば、敵の情報戦を「ぶっちぎる」ための存在なのだが、最新の実戦レベルで情報戦に勝てる人材が求められる以上、当然ながらバトルハッカーは、極めて高い情報戦の技能や知識や経験を持った人材によって構成されなければならない。そうした人材を広く求めると同時に、有力な人材と交渉を行い契約し、さらにそこから段階的な厳しい試験や、訓練などの教育の期間を経て、バトルハッカーは育成されるのである。

 そのため自然と、バトルハッカーは、フィーブル藩国のハッカーやギークがスカウトを受けることが多かった。
 しかし、飛び抜けた才能を持つハッカーやギークほど、どこか偏屈した性格の持ち主である傾向も多く、また求められる能力の高さや、精鋭を育成するが故の訓練の厳しさもあるのだが、そうして選びに選び抜かれて叩き上げられた情報戦の戦士が、情報戦の最前線に立つバトルハッカーとなった。

 彼らは誇り高く、ネットの広大さと自由を愛し、金や損得では決して動かない。
 それ故に、情報軍の正式な情報戦歩兵でありながらも性格に難のある人間が多いが、しかしその胸には、決して消せない熱い魂を抱いていた。



<SS2:集いし者達>

 数日後。
 あの男に連れてこられた場所は、フィーブル藩国の軍施設の、ネットワーク環境が整った一室だった。
 そこには何十人かの男女が集まっていた。余裕そうに談笑している奴もいるが、どいつもこいつも携帯端末を持っていて、どこか用心深いような眼差しで周囲を窺っている。俺はすぐに、こいつらのほとんどがハッカーやギークだと見抜いた。なるほど。俺と同じくスカウトされた奴らなのだろう。フィーブル藩国内でも、相当の技能保持者が集められていると見える。
 
??:「今、ニューワールドにおける情報戦は、敵によって窮地に立たされているに等しい」
??:「お前のように、高い技能があって、気にくわない奴らをぶっちぎろうとする意志を持った人材が、必要なのだ」

 あの男が言っていたことを思い出して、俺は野球帽を深く被り直した。
 バトルハッカーになる試験を受けろだと? 受けなければ警察に引き渡すとか言ってやがったが、ふざけやがって。俺は適当に試験だか何だかを受けて、さっさと帰ろうと思っていた。

 試験は、情報処理に関する筆記試験と、何かよく分からん精神分析みたいな試験、最後に実技試験だった。
 そして弱ったことに……実技試験が、傑作だった。暗号錠や防壁を破る試験もあったが、チームごとに分かれて情報戦の対抗戦をするやつが一番最高だった。即応での協調性を求められつつ、それぞれの性格や技能を把握してフォローし合い、一個の部隊として活動するのは、まあ……悪くない遊びだったよ。 ……ああ、そうだ。なんか流れに任せて発言してたら、気付いたら俺がリーダーやってたんだよ。文句あるかよ。くそっ。

 チーム対抗戦は、俺のチームが最優秀の成績を収めた。
 試験が終了し、その後日、俺の合格の正否を通知する書類が自宅に届いた。その書類には結構な厚さがあって、俺はうんざりしながらも選ばなければいけなかった。このまま進むか、それとも引き返すか。俺は心の中で、今までネット上でチームを組んで悪党共の掃除をしていた自分と、あの実技試験でチームを率いていた自分を思い出していた。

少年:「……なんだ。大した違いはねーじゃねえか。俺は、俺のままだ」
少年:「それなら面白そうなほうに手を出すか。気にくわなきゃ辞めればいいさ。それだけだ」

 ……俺は、俺のままだ。何も変わらない。これまでも、そしてこれからも。
 藩国政府のバックアップで最新の技術を扱ったり、己の技能を高められることにも興味はある。手に職がつくのも美味しい話だった。恐らくは合格通知を受け取った奴らも、同じことを考えるだろう。 もちろんそれは、これからのバトルハッカーの訓練や教育をクリアすれば、だが。



<バトルハッカーの訓練と教育(根源力制限15万相当)>

 バトルハッカーとして見込みがあるとスカウトされた人材は、厳しい訓練や学習による試験によって、段階的に振り落とされることになる。特に情報戦に関する訓練や教育については、フィーブル藩国で最も厳しいものが用意された。

 逆に言えば、それらの訓練で得た技術や教育で学んだ知識は全て訓練生のものとなるので、機密保持の面もあって、それらは段階的に行われることとなる。苛烈を極める訓練と教育による試験を乗り越えるためには、根源力制限15万に相当する実力が必要であるとされていた。

 ……ニューワールドの電子の守り手は、嵐のような厳しさの中で育てられる。
 それは奇しくも、ニューワールドにおける情報戦の攻防が、藩国の情報技術を叩き上げていく姿に、よく似ていた。

 正式な情報軍として部隊編成が予定されることから、正規の軍人としての訓練や教育も受けさせるべきという意見もあったが、しかし「情報戦使いは、情報戦で勝てればいい。それ以外に価値はない」という容赦のない見解もあり、バトルハッカーにおける軍人としての訓練や教育は標準のものに留まった。しかし強いて言うならば、これは、ただの軍人ではバトルハッカーになりえないという側面でもあった。平均的に統率されて高い能力を持ち、任務に対して忠実な人間を、バトルハッカーでは強く求めていなかったのである。

 ……高度な技能を持ちながらも、己の魂に従い、孤高を誇る彼らに求められているのは、ただひとつ。
 気にくわない敵の情報戦をぶっちぎる。ただそれだけだったからである。

 彼らの正義は、敵の情報戦をぶっちぎることであり。
 そして、敵の情報戦をぶっちぎることが、彼らの正義の証明であった。

 それ故に、バトルハッカーの教官や指揮官などのリーダーは、高い指導力とカリスマ性を持ち、恐るべき超一級の情報戦能力の持ち主でなければならなかったという。そうでなければ、彼らをまとめることなど出来はしないだろう。



<SS3:バトルハッカーの訓練風景(1)>

 軍施設での訓練生としての生活が始まった。訓練や学習の基本は、座学と実技だった。
 教官による座学では、情報戦がどういうものなのか、から始まって、過去のニューワールドでの情報戦の事件や、それらを絡めた技術発展の歴史、情報戦で用いられた技術や効果的な部隊運用のノウハウや、最新の情報戦技術や機器に関する学習に、過去から現在、そして未来でのニューワールドの情報戦の戦況予測など、「情報戦」に関するありとあらゆる知識が叩き込まれた。その間にも、結構な人数が途中で脱落していったが。

 何より学んだのは、情報戦という戦いの、その容赦のなさである。
 俺を強引な方法でスカウトし、そしてバトルハッカーの教官である、あの男はこう語った。

教官:「ここまで学んだお前達ならば、もう分かるだろう」
教官:「情報戦は、一瞬で決着する。どちらが強くて弱いかという、純粋な戦力差が全てを決定する」
教官:「よほどのことがない限り、この状況が動くことはない。覚えておけ」

訓練生A:「そんなあっさり決まり切るものですかねえ? 70%とかなら、まだ勝てる可能性はあるんじゃないですかい?」
教官:「優秀な指揮官は70%では勝負しない。なぜなら、それだけ情報戦が背負っているものが大きいからだ」
教官:「敗北すれば、全部隊の情報や通信などが筒抜けになる可能性が高い。経済システムに介入された例もある」
教官:「例えば、もし宇宙戦でそのようなことになれば、一瞬で味方は壊滅状態になる。そういうことだ」

訓練生B:「70%を、80%や90%にする方法はないのでしょうか?」
教官:「あるにはあるが、しかし敵を上回るために、そうした細工を何度も繰り返す余裕はないと思っておけ」

訓練生C:「情報戦以外で、情報戦に打ち勝つ手段ってのはないのか?」
教官:「もし敵の撃滅を目的とするのであれば、歩兵部隊がダメでも、I=D部隊や詠唱部隊などの代わりがいるだろう」
教官:「しかし、情報戦は………情報戦でしか勝つことは出来ない。そして半端な情報戦能力では、使えない」
教官:「故に我々は、敵の情報戦を、完膚無きまでに―――ぶっちぎる必要があるのだ!!!」

教官:「キーボードを叩いて戦う我々の肩には、常に全ての味方からの信頼を背負っている」
教官:「同時に、味方が守ろうとしている全てのものも背負っている。愛する人や、帰るべき藩国。理想や夢。願い。希望」
教官:「それらの全てを、我々は、敵をぶっちぎることで、守るのだ! それは俺達にしか出来ないことだ。忘れるな……」

少年:「……へっ。なにビビらせようとしてんだよ」
少年:「俺は、俺達は、ただ気にくわない敵の情報戦を………そうさ。ぶっちぎればいいんだろ?」
少年:「何を背負ってようが関係ないね。勝ってやるさ。それが俺達の戦いだ。俺達の勝利は、それだけだ……!」

教官:「相変わらず威勢だけは一人前だな」
少年:「なんだと!?」

 机を蹴り飛ばして、俺はそいつに殴る。殴りかかる。
 ボディに一発を決めた。確かな手応え。しかしそれは………!

少年:「馬鹿な、変わり身だと!?」
教官:「しかしお前の言うことも、真実ではある」

 反応して殴りかかる瞬間もなかった。いつの間にか背後に回っていた教官に、一瞬で組み伏せられる。
 歯軋りしながら、俺は忌々しい教官を睨み付ける。こいつ……! 何故だ。どうしてこいつには勝てない……!

教官:「情報戦使いは、情報戦で勝てればいい。勝てない情報戦使いに、価値はない」
教官:「情報戦は、たった一瞬で決着する。お前達はその一瞬で勝利するためだけに、研鑽を重ねるがいい」
教官:「たった一度の立ち会いのために、生涯をかけて己を磨く生き様………人、それを侍という」
教官:「侍であれ。電子世界で、ただ一瞬の戦いに勝つための侍に。その戦士の名を、バトルハッカーというのだ……!」



<SS4:バトルハッカーの訓練風景(2)>

 座学や、それに伴う試験が何度か行われて、ある程度の人数に絞り込まれるまでは、実技訓練は行われなかった。
 基本も出来ていない奴を使う気はない。そういうことなのだろう。俺もそう思う。

 そして実技訓練だが……ああ。全くもって愉快な実技訓練だった。
 まず、時間制限のあるものや、失敗することでデメリットが大きい情報戦が多く行われた。

教官:「緊張と重圧は、冷静さを加熱して判断力を奪う。己を意志あるプログラムだと思え」
教官:「熱くなるな。震えるな。そんなものは別世界の出来事だと思え。お前達の戦場は、電子の世界だけだ」
少年:「ビビんなってことだろ? 分かってるよ、くそっ」

 しかしこれは効果的ではあった。
 普段では平気な顔でクールに情報戦をやってのける人間も、失敗すると身体にきつめの電流が流れる首輪をつけられると、時間ギリギリになってあっさりミスをすることが多かった。それも初歩的なミスを、だ。そういう状態になった自分を知ると同時に、ある程度は慣れろということなのだろう。必要なのは、己を意志あるプログラムと思えるような、そんな鋼の意志が求められているらしい。

教官:「どんな状況であっても、己の最大の性能をいつでも引き出せるようにしておけ」
教官:「今はひたすら研鑽を重ねろ。己を高めて、磨き上げろ。ただ一瞬の勝負に勝つために」

 模擬戦用の市街地を制圧している、複数機のI=Dを情報戦で電子的に制圧するという訓練もあった。
 訓練は、より実戦レベルを想定したものに切り替わっていった。足場の不安定な移動車両内での訓練や、足で移動しながらの情報戦など。これらは戦場での情報戦を想定しているものだった。情報戦使いではなく情報戦歩兵が必要な理由が分かった気がする。
 
 それでいてなお、情報戦および対情報戦に特化する訓練は重ねられていった。
 防壁を破るプログラムの作成や、その逆に防壁を構築する訓練。隠蔽情報戦限定のチーム対抗戦や、断片的な情報のみを手がかりに、市街地に潜伏した教官に気取られず、情報戦を駆使して1週間かけて見つけるという訓練もあった。フィーブル藩国の情報戦防衛における脆弱性を発見して改善案を提出するというものもあった。

教官:「ふむ。たまには俺が相手をしてやろうか」
訓練生達:「ぶっちぎってやるぜ!!!」

 教官対訓練生全員による全面情報戦というのもあったが、なぜか人数差にも関わらず、教官には勝てなかった。
 これまでの訓練生が作成したのプログラムの癖を全て把握しているのか、それとも藩国政府から技術的なバックアップを受けていたのか。どちらにせよ………いつかぶっちぎってやる。



<SS5:バトルハッカーの訓練風景(3)>

 ハッカーであっても、ある程度の体力が求められる。
 情報戦技能だけを求められるだけなのだから、体力など必要ないと思っているのは、考えが甘い。連続して何日も何日も、プログラムの作成や改善を行ったり、データを分析して敵を探ったり、相手の防壁の脆弱性を執拗に狙い続ける。戦場での移動を徒歩で行わなければならない場合もあるだろう。あらゆる行動において、体力は全ての資本なのであった。

 そういうわけで、俺達はフィーブル藩国の砂漠に近い場所に集められていた。
 これから体力作りの訓練が行われるらしい。また、護身術の教習も行われるとか。

訓練生A:「熱いですねえ………教官は、どこにいるんですかい?」
訓練生B:「どうも、まだ来ていないようですが。珍しいこともありますね」
訓練生C:「さっさと帰ってハンバーガーを喰いてえなあ。体力を付ける訓練なんざ、本当にハッカーに必要なのかね?」
少年:「あの野郎、自分で招集をかけておいていないってのは、なに考えてやがるんだ? くそっ。俺は帰るぞ!」

教官:「待てぃッ!」
少年:「だ、誰だッ!?」

 その男は、砂漠の岩場の上に立っていた。
 熱く輝く太陽を背に、問答無用の存在感。
 あまりにも馬鹿馬鹿しく、しかし清々しくも威風堂々と……現れる。

待てぃッ!


 その男の姿は、見慣れない装備で全身を固めていた。
 ウォードレスに似ているが、しかし俺は、その装備こそがバトルハッカーの正式装備であると、一瞬で見破っていた。

少年:「一応聞いておいてやる……何者だ!?」
教官:「貴様らに名乗る名は無い!!」

 跳躍。
 パワーアシスト機能で強化された跳躍の後に、滑らかな動作で砂漠に着地する教官。俺達は、教官の周囲に集まった。全身機械の孤高の騎士を見るような、或いは、将来の俺達が纏う鎧を値踏みするような、そんな表情で。

 こうして見ると、やはりそれらは情報戦のためのスーツであることが分かった。
 単なるパワードスーツではない。強いて表現するなら、これはパソコンをパワードスーツにしたものだ。例えば目の部分が隠れているのは、あれは噂のウイザードヘッドセットと共に技術開発されたAR技術のモニタ機能を備えているのだろう。その証拠に、見えにくいがヘルメットには小型のカメラが仕込んである。外部情報を入力するための装置だ。その他にも、腕の携帯型ハンドヘルドや、高機能の機器を背中のバックパックに取り付けてあるように見えるのも気になった。まだ隠れているギミックはあるのだろう。

教官:「これから時間をかけて、お前達に体力を付ける。同時に身を守るための術を教える」
少年:「体力が資本なのは理解しているが、それに加えて護身術が必要な理由は?」
教官:「我々が敵をぶっちぎり、敵の情報戦を無力化した際、敵はどのような行動に出ることが想定される?」

 全員が押し黙る。そんなことは決まり切っていた。昨今の越前藩国を考えればいいのだ。
 直接的な攻撃にさらされれば、どんな優秀な情報戦部隊であろうとも終わりである。

教官:「そう。戦場でも、情報戦部隊は味方部隊の後方、或いは中央に配置されるが、しかし奇襲の可能性は常にある」
教官:「だから襲撃された時に、応援が来るまで生き延びるために、俺はお前達に護身術を教えるのだ」
教官:「敵を倒せとは言わん。生きろ。生きて復讐の牙を磨け。俺達の戦いは電子の世界にしかないことを忘れるな!」

教官:「それに、バトルハッカーの任務には、敵のハッカーを制圧することも含まれる」
教官:「警察機関や他国の部隊と連携して突入作成を行うこともあるだろう」
教官:「我々は基本的に銃を持たない。殺すのは別の奴らの仕事だ。故に素手か、携帯性の高い光剣で敵を制圧する」

少年:「……それで、その護身術ってのは誰が教えるんだ?」
教官:「決まっているだろう」

 そう聞くと同時に、俺は飛び出していた。
 こっそりと背後に回っていた俺は、一瞬で光剣を抜き放って斬りつける。こいつの扱いには自信があった。砂漠に招集する連絡が行われた際に、光剣の持ち出し可とあったので、そんな予感はしていたが、これは、またとないチャンスだった。

少年:(護身術なら、自分の身くらいは守れるんだろうな!?)

 しかし。
 教官は後ろを見ることなく、ただ一歩だけ動いて、俺の光剣を回避していた。
 信じられない。だがそれは予測していたことだった。相手が見切るだろうと予測した上で俺はさらなる斬撃を放っている。しかし、それさえも見えているかのように背中を向けたまま見切られて、次の瞬間には腕を捕まれて組み伏せられていた。組み伏せられながら、俺は呻いた。

少年:「そうか……地上戦闘情報共有システムか!?」
教官:「こんな至近距離での位置情報は正確に読み取れんさ。だからほとんどは訓練と経験で補っている」

教官:「技術と努力と経験が重なることで、ほんの一歩だけ先に進むことが出来る。 ………人、それを進歩という」
教官:「ここで俺が教えられるのは、戦場の1シーンを、ただ生き延びるための、その一歩だ」
教官:「その一歩で生き延びた先で、電子世界の戦場が、お前達を待っている」
教官:「さあ、訓練を始めようか」



<バトルハッカーの装備について>

 バトルハッカーは、バトルハッカースーツを中心とした装備や機能で固められている。 
 これまでのフィーブル藩国の技術である、電子妖精や電子の女王、新素材の開発による光ファイバー技術、大型PCや超大型PCなど、既存の技術や支援を最大限に利用できるようになっていると同時に、新しい技術やバックアップにも対応できるよう、先を見据えて装備は開発された。これらの全ては、情報戦を最大限に行うという、ただそのための装備である。

画像


 以下は、主なバトルハッカーの装備についての紹介である。
 これらの他にも、さらなる研究や技術発展に合わせて、バトルハッカーはさらに強くなることだろう。
 なお、バトルハッカーにはTLO技術は使用されない予定である。強力だが不安定なTLO技術よりも、技術を使いこなす人間こそが本当の意味で強いという方針だからである。

●バトルハッカースーツ
 このバトルハッカースーツは、情報戦を行うための性能と、歩兵として求められる性能を繊細に組み合わせた、まさに情報戦歩兵のための装備を体現したものであり、その最大の狙いは、どのような状況下であっても情報戦を最大限に行えるということに尽きる。
 
 パワーアシスト機能によって元ハッカーやギークでも充分な部隊行動を可能とし、また光ファイバー技術によるデータグローブ技術を応用して、身体動きや肉体の状態をデータとして取得することも可能としている。部隊人員のストレスや精神状況などを把握し、また負傷状況などを即座に医療部隊に送信することも可能である。また、スーツの要所にある装甲があることによって、銃弾が飛び交う戦場でも、情報戦を行う際の安心感と集中力を保持することに繋がる。

●ウイザードメット
 バトルハッカーの頭部や顔面を防護すると同時に、ウイザードメットには、AR技術が結集されている。
 このウイザードメットは、フィーブル藩国の宝重であるウイザードヘッドセットの技術の廉価版であり、AR技術を備えたモニタならぬ、ARメットとしての機能が付加されている。もちろんフェイスオープンすることで通常のメットしても使えるが、AR技術はウイザードヘッドセットのものをそのまま使えるため、キーボードが破損した際のための仮想キーボードや、立体的なARデータの閲覧できる他に、重要なデータや、ウイザードメットを被る部隊人員の視界情報などをすぐさま共有できるのは、情報戦歩兵であるバトルハッカーにとっては、非常に大きな強みであった。

●ウルトラハンドヘルド
 このウルトラハンドヘルドは、高機能ハンドヘルドと同じタイプの装備であり、情報戦歩兵にとっては重要な携帯情報端末である。ウルトラハンドヘルドには、強固な対電子防壁を備えた情報機器と接続するためのワイヤーケーブルが付加されており、接続する情報機器からのデータは、ウルトラハンドヘルドを経由して読み込まれることで守られるという仕組みである。また、通信の暗号化能力も持っている他に、暗号解読や防壁破りなどの複数のプログラムをワイヤーケーブルから機器に送信すること出来る。これらは敵のサイボーグや情報戦施設を直接制圧する際に用いられることになるだろう。個人の情報の保全性や機密性を高めると同時に、攻撃的な情報戦を行うためのアイテム。それがウルトラハンドヘルドであった。

●一部機械化と低物理域対策
 バトルハッカーは希望によって、サイボーグ技術を応用した肉体の一部機械化を行うことが出来る。
 これによって情報戦能力を高めることは可能であるが、ただし、これらの全ては低物理域による即死を免れるものに限定されている。



<バトルハッカーの運用想定>

 以下は、想定されているバトルハッカーの運用である。
 これらの任務を遂行できる存在として、バトルハッカーはフィーブル藩国で注目されることだろう。特に、敵に対する情報戦と、敵からの情報戦に対する対情報戦については、バトルハッカーが結成された最大の目的である。

●敵に対する情報戦と、対情報戦での運用
 バトルハッカーは、情報戦で勝つための存在として想定されている。それは平時でも戦場でも、どのような状況であっても情報戦で勝つことが全てである。情報戦で勝つことが彼らの正義の証明であり、彼らの正義は、情報戦における勝利によってのみ証明される。また、敵の部隊に誤情報を送ったり、通信を傍受したり、敵の機体の火器管制システムを乗っ取るなどの、戦場における非常に攻撃的な運用も想定される。

●情報戦による情報収集や捜査や隠蔽
 バトルハッカーは、その情報戦能力をもって情報技術による捜査活動や情報収集を行い、時に敵や国民に情報を隠蔽し、または情報の公開を遅らせる、或いは逆に情報の伝播を促進するといった運用が想定される。これらについては平行して育成が行われている情報士官との連携も視野に入れることが出来るだろう。

●警察機関や他藩国との連携
 バトルハッカーは、藩国内外における情報戦による問題を解決することを想定されている。
 そのため、警察機関および他藩国の部隊と連携できるだけの最低限の能力が必要であるとして、歩兵的な側面も持っている。敵の情報戦の施設や敵ハッカーの制圧などがその最たるものとなるであろう。

●施設や組織などのネットワークの情報保全
 情報戦能力を行使して、重要な施設や組織などのネットワークの情報保全を行うことが想定される。ただし越前藩国のネットワークエンジニアには及ばないことが予測されるため、これらの運用については越前藩国のサブ的なものとなるだろう。

●情報戦の戦略研究や防壁や暗号などの開発
 まず第一に敵の情報戦をぶっちぎることが目的とされるバトルハッカーだが、そのための研究や開発などにも協力することが想定されている。基本的に情報戦技術というものはいたちごっこであり、バックアップのサポートなくして敵を破り続けることは不可能であるというのがバトルハッカーの方針である。



<SS6:ぶっちぎりバトルハッカー>

 バトルハッカーの装備着用による訓練も終わりに近づき、ついにバトルハッカーの実働が始まる。
 指揮官は……俺だ。

 その日、俺はバトルハッカースーツを初めとした装備を装着して、最終調整を行っていた。
 ネットワーク環境が整った訓練室に向かうと、室内には先客がいた。俺と同じ装備で、机に腰を下ろして片手で折り紙のIを折っていたのは、教官だった。
 
 教官は俺に気付くと、Iを投げて寄越した。
 結構な距離があったが、Iは優雅に羽撃いて俺の元まで飛んでくる。俺はそれを掌で受け止めた。それはARデータの折り紙で、浮遊属性が付属したIだった。本来ならば見ることも触れることも出来ないが、ウイザードメットによるAR技術と、全身を覆うスーツの身体データが連動すれば、それを受け止めることも出来るのだった。実際のところ、訓練生によるARボールでのサッカーは悪くはなかった。この装備に慣れるという意味では。

少年:「……器用だな」
教官:「器用さと知識は切り離せない重要なファクターだ。教えたはずだ」
少年:「知っているさ。わざわざ教えられることもない話だ。俺だって折ろうと思えば折れる」

 教官は、薄く笑う気配だけ残して、消失した。
 すでに検討は付いている。俺は声が聞こえた方向を改めて見ると、俺から死角の席に、先程と同じ姿の教官がいた。俺の視覚情報に介入されていたのである。これは監視カメラやサイボーグや機体などの相手にしか通じない手ではあるが、教官は電子戦を交えた戦闘技能にかけては、相も変わらずの凄腕だった。

教官:「冷静だな。気付いていたのか」
少年:「こういう場合、こちらが気付いたことをわざわざ相手に教える必要はない。あんたの教えだ」
教官:「そうだ。技術を用いた情報戦の先にあるものは、技術を使う人間との心理戦だ。忘れるな」
少年:「そうかよ」

 俺はIを握り潰してデータを削除すると、近くにあった机を蹴り飛ばした。
 教官は座っていた机を足場に、軽く跳んで避ける。俺はその隙に、プログラムによって俺の動きと連動する、自分と同じ姿のARデータを10人ほど出現させて、俺と同時に教官へ襲いかからせた。データ上の映像に限って自分たちの部隊規模を誤認させるものだ。こんなものはウイザードメットのAR機能を切れば片付く問題ではあるが、AR機能を切るということは、そうしなければ俺のプログラムは見破れないことを意味する。こんなAR技術を使ったお遊びであっても、俺は、こいつに勝ちたかった。

 対抗プログラム属性を持ったARデータの分身でも出してくるかと思ったが、やはり教官は薄く笑うだけで、そして次の瞬間には、殴りかかった俺の拳は正確に受け止められていた。俺は相手を睨み付ける。

教官:「一番最初にお前が殴りかかるというのはいいアイデアだ」
少年:「……罠は二重に仕掛けろ、だろ。それで、音か? 気配か?」
教官:「言ったはずだ。俺はお前の心理を読んだ。お前なら、まず自分で最初に殴りかかるだろうと」
少年:「だが……どうしてお前、今日は拳を受け止めたんだよ」

 教官は俺の拳を離すと、唐突に跳躍した。
 この訓練室の入口付近に音もなく着地すると、背中を向けたままこう言った。

教官:「感傷だ。お前達の訓練期間はもう終わる。お前の拳を受け止めるのも、たまには悪くない」
少年:「………! テメエ、まさか勝ち逃げする気かよ!?」

 教官は何も答えなかった。ただ、無言で背中を見せたまま、静かに歩み去っていった。

/*/

 孔明先生と、フィーブル藩国の国民達によって育てられてた、豊かな穀倉地帯が広がっている。
 フィーブル畑とでもいうべきその農地の中で、一人の少年王が農作業を手伝っていた。彼こそがフィーブル藩国の藩王、フィーブルその人であった。今はたまたま周囲に誰もおらず、せっせと額に汗を流して作業していた彼は、ふと独り言のように口を開いた。

フィーブル:「……ついに実働ですか」
教官:「はい。詳しいデータは、いつもの場所に」
フィーブル:「ありがとうございます。では、バトルハッカーの実力を見せて下さい」
教官:「はっ。誓って我々は、敵をぶっちぎりましょう」

 背後の気配が消える。厳しい眼差しで、空を見上げるフィーブル藩王。
 彼らの行く先には、厳しい情報戦による戦いが待ちかまえている。それを案じたのだった。

/*/

 ある夜。そのハッカーグループは、今まさに皆殺しにされようとしていた。
 彼らはハッキング技術をフルに利用して、監視カメラや電子情報などのデータから、企業の不正やスキャンダルの証拠などを掴み、取引したり闇で売買するという、そんな危険な行為を行っている少年ハッカーグループだった。

 腕は良かったが、しかし世の中には火遊びで死んでしまうこともある。
 裏で犯罪組織と繋がっている企業がグループの被害に遭い、企業は組織と協力して躍起になって彼らを探し始めたのだ。やがて犯罪組織に身を置くハッカーが、所詮はアマチュアのハッカーグループの逆探知に成功して、少年達のグループの拠点である高層ビルの一室に、相手が子供だろうが容赦なく始末する組織の人間がやって来ることになる。

 ハッキングを受けて、深刻を通り越して致命的な事態をようやく悟った少年達。
 慌てて警察に通報するも、到着した男達に殴られ蹴られ、半殺しの状態で高層ビルから連れ出されることとなる。車に乗せられた後は悪党共のアジトに運ばれて、もはや少年達の命運は尽きる直前だった。

/*/

 アジトである廃工場が、警官隊が包囲していることに、悪党共は気付いていなかった。
 こんなに早く居場所を特定されて包囲されたとは夢にも思わないだろう。彼らは素早い情報提供を受けていたのである。

 情報では、ただの廃工場に見えるアジトは、監視カメラや電子錠でロックされた扉など、最新のセキュリティシステムが備えられていた。そのため突入の指示を出すに出せず、焦れかけていた警官隊の隊長だったが……ついに待ちかねた連絡が入った。暗号化された通信から聞こえてきた声は、意外にも若い。

指揮官:<こちらバトルハッカー。廃工場に仕掛けられたセキュリティは、ぶっちぎった>
警官:「もうか!? いや、助かった! これより突入するが、支援を頼めるか?」
指揮官:<了解だ。地上戦闘情報共有システムに、建物の構造や人員の配置データなどを送るぞ>

 地上戦闘情報共有システムに、立体的な建物のデータと、内部の悪党共の配置や動きまでもが展開される。リアルタイムだった。恐らくは監視カメラを逆に利用しているのだろう。電子的な設備で固めれば固めるほど、彼らにとっては有利となる条件が増えるのであった。なぜなら彼らは、情報戦で勝つための存在だからである。

 突入する警官達。
 彼らがドアを開ける絶妙なタイミングで電子ロックは外れていった。建物の内部構造から人員の配置、どんな銃を持っているかまでが把握されているため、地上戦闘情報共有システムの支援もあって、恐ろしく迅速に悪党共が拘束されていく。銃を抜く間もなかったほどだった。

警官:「警察だ! 無駄な抵抗は止めて投降しろ!!」
悪党A:「馬鹿な……監視カメラに異常はなかったはず……!?」
悪党B:「こ、こっちの配置が完全に読まれてるぞ! うわああっ!? 」

敵ハッカー:「手際が良すぎる……やばい。まさかバトルハッカーが出動してるのか!?」
敵サイボーグ:「なんだそいつは!?」
敵ハッカー:「情報戦および対情報戦に特化した新設部隊だと聞いたが、くそっ! せめて時間稼ぎを……!」

 逆ハッキングを仕掛けようとした次の瞬間、敵ハッカーの情報端末があっさり掌握された。
 並の情報戦の対処速度ではない。

バトルハッカーA:<敵ハッカーを確認。使用プログラムから犯罪者リストに一致。顔と位置のデータ送る>
バトルハッカーB:<そっちは今リーダーが行ってるはずだぜ? ガキ共もそこのはずだ。リーダー!>
指揮官:<聞こえてるぜ。 ……ちっ。状況が変わった。これより制圧する!>

 狼狽しながら情報端末を叩く敵ハッカーを無視して、敵サイボーグは獰猛に笑った。
 その手には、ボロボロの若い少年の首が捕まえられている。これを人質にして自分だけ逃走しようというのだろう。突入した警官も、これには動くに動くことが出来ない。

敵サイボーグ:「動くなよ……ふん! どうやら俺だけ脱出して……む!? な、なんだ……!?」

 ギリギリと、サイボーグの手が開いていく。少年を解放するように。
 バトルハッカーの指揮官の少年の指先が、小刻みに動いていた。通常では見えない左右の手に分割された仮想キーボードを打っているのだ。彼は今、掌握した敵ハッカーの情報端末を経由して、通信回線からサイボーグの機械制御システムにハッキングを行っているのである。

敵サイボーグ:「……て、テメエ……ぐぬうう! おのれええっ!! 誰だっ!?」
指揮官:「貴様らに名乗る名などない!!!」

 敵サイボーグが殴りかかってくる。
 指揮官となった少年は、それを軽くいなして組み伏せた。バトルハッカースーツのパワーアシスト機能が、強引にサイボーグを取り押さえる。そしてサイボーグの一部機械となっている場所からウルトラハンドヘルドで有線接続して、ハッキングして完全に動きを止めた。サイボーグ率が高かったのだろう。もはや身動きひとつ出来ないようだった。

 そいつは警察に任せて、指揮官の彼は、少年達の元に駆け寄った。
 酷く殴られていたが、無事のようである。どこか冷たい眼差しで、少年達を見下ろす指揮官。

少年A:「大して変わらない年齢だと……マジかよ……」
少年B:「……お、俺達も、逮捕するってわけかよ……くそっ」
指揮官:「まず、お前達は病院に搬送する。その後で事情聴取させて貰おうか」
指揮官:「ったく。俺がいた頃は、やばい火遊びは自粛させてたはずなんだがな……」
少年A:「え……ま、まさかお前は、俺達の元……」

 指揮官の少年は、薄く笑った。

指揮官:「いいや違う。俺は電子世界のフェダイーン。己が誇りと自由を賭けた、もはや名も無き……バトルハッカーだ」
指揮官:「事情聴取の後で、相談がある。警察に引き渡すかどうかは、それで決めるか」

/*/

 悪党共のアジトを出ると、指揮官の彼は、急に機嫌が悪くなった。
 他のバトルハッカー達が整列していた。そして彼らをまとめているのは、現場までやって来たバトルハッカー部隊の総司令であり……彼らの元教官だったからである。

司令:「よくやったと褒めるべきだな」
指揮官:「当然だろうが。俺達は、悪党共をぶっちぎるための存在だからな」
司令:「ああ、そうだ。悪との戦いは絶えることなく、しかしその連鎖の中で、俺達は踊るのだ」
指揮官:「はっ! どんな相手だろうと………ぶっちぎってやるぜ!!!」

 ……ネットの広大さと自由を愛し、金や損得では決して動かない、誇り高い戦士達。
 それ故に情報軍の正式な情報戦歩兵でありながらも性格に難のある人間が多いが、しかしその胸には、決して消せない熱い魂を抱いてる。
 彼らの名は、バトルハッカー。電子の海の悪党共を、今日も彼らはぶっちぎる―――!



イラスト:フィーブル
文章:戯言屋(設定とSS)
文章:フィーブル(設定と監修)



L:高位西国人 = {
 t:名称 = 高位西国人(人)
 t:要点 = ゆったりした服装,灰色の髪,装飾品
 t:周辺環境 = 王宮,ソファ,大きな団扇
高位西国人のページから継承します。

L:ハッカー = {
 t:名称 = ハッカー(職業)
 t:要点 = 一部機械
 t:周辺環境 = パソコン,ネットワーク環境

L:ギーク = {
 t:名称 = ギーク(職業)
 t:要点 = ハンバーガー,光剣,キーボード,野球帽
 t:周辺環境 = 高層ビル

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高位西国人+ハッカー+ギーク +バトルハッカー(評価値)
これが新しいハッカーの姿だ! フィーブル藩国の情報戦歩兵部隊、バトルハッカー! 合言葉は、「ぶっちぎりだぜ!!!」 ...続きを見る
フィーブル藩国 国立図書館
2010/05/17 01:53
地上戦闘情報共有システム(技術)
情報共有によって、地上の部隊展開をリアルタイムで映像表示することも可能に ...続きを見る
フィーブル藩国 国立図書館
2011/05/04 13:22
情報士官(職業4)
ヘッドセットを着用し、情報の世界で戦う情報士官。 情報を扱う彼らは、理性と知恵をもって、昼も夜もなく戦い続ける。 ...続きを見る
フィーブル藩国 国立図書館
2011/06/08 16:48
ぶっちぎり(技術)
バトルハッカー。 それはフィーブル藩国情報軍に所属する、情報戦歩兵の名である。 最速で動いた指先が、ARで作られた仮想キーボードを叩く時、彼らの戦いは始まるのだ! 合言葉は―― ぶっちぎりだぜ!! ...続きを見る
フィーブル藩国 国立図書館
2013/02/13 23:20

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