Take a walk in 観光遺跡

アウドムラ迎撃戦が終わってから、フィーブル藩国は安息の時を過ごしていた。

「♪~♪♪~~~♪」

鼻歌を歌いながら、ジョンが道を歩いている。
今日は、久しぶりのお散歩だ。

        =***=

アウドムラ迎撃戦では、奇跡的に藩国も国民も無傷であった。
もう、戦闘前のフィーブルの雰囲気からしたら奇跡ったら奇跡である。

「まさか!我等が藩国にっ!」
「戦闘後は、大変な復興作業が・・・」
「これからのフィーブル藩国の歴史と存亡・・・」

などと国民全員がヤバゲな顔をしていた。
まあ終わってみれば、圧倒的な大勝利である。

フィーブル藩国の警戒態勢も無事に解かれた。
ってことで、ようやく散歩に出かける時間ができたのである。

        =***=

”うん、新しくできた観光遺跡に行こう。”

寝起きと同時にそう思いつく。
最近は、ずっと忙しくてなかなか散歩できなかったし。
必要なのは、財布と、飲み物と、暑さ対策にちゃんとした帽子。
朝食は、途中で買ったら良い。

”準備完了ー”

フィーブル藩国で借りている部屋には、ようやく慣れてきた。
まだ、ここで過ごして3週間だがすでに思い出がたくさんできた。

”よし、出発!”

フィーブル藩国は今日も良い天気。平和である。

        =***=

「おばさんー、おはようございます!」

いつもの散歩道の途中。雑貨屋のおばさんに挨拶をする。

「おはよう、ジョン君♪ 今日も散歩かい?」
「はい、今日は観光遺跡に行ってみようかなと。あ、フィッシュフライサンド包んでもらえます?」

雑貨店のおばさんは、フライサンドを包みながら答える。
「あいよ、フライサンドね。」
「ありがとうございます。んじゃ、行ってきます!」

手を振りながらジョンは歩き出す。

「いってらっしゃーい!」
後ろからはおばさんの声が聞こえる。

        =***=

「♪~♪♪~~~♪」
鼻歌を口ずさみながら、観光遺跡へ向かう道を進む。

観光遺跡へ向かうには、農業地区を通る必要がある。
周り一面が、ルーディス麦の平原だ。

「♪~~~♪~♪♪」
砂漠を通り抜けてきた熱風も、この辺りの水源地で冷やされる。
気持ち良い温度の風が吹き抜けていく。

”そういえば、酒造組合の人たちはどうしてるだろう?”
ルーディス麦を眺めていると思い出した。

戦時ゆえの食料増産計画。
その対応のため、ジョンは酒造組合からビール用の麦の提供を受けたのだ。

”うん、この麦の育ち具合なら大丈夫そうだな・・・”
今度、あらためてお礼に行かなければ。
手帳にちゃんと書いておくことにする。

「♪♪~~~♪~♪」
それにしても、農業地区の風は気持ちが良い。

        =***=

「おぉおおぉぉぉぉーーーーー!」
観光遺跡を見た瞬間に思わず歓声を上げてしまう。

「って、これすごっ!」
大きな石製の遺跡が見渡せる。
正確に切り揃えられた石が何層にも積み重ねられているようだ。

「にゃ~、ジョンだにゃーー!さぼりにゃーー!」
宮廷猫士が観光遺跡前に立っていた。

「あ、こんにちわ!こんな所でどうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないにゃ!この暑い中、ここに来てくれた人をカウント中にゃー。」
「観光地化してから、まだそう立ってないのにゃ~。これからのためにも目安が必要なのにゃ。」
「あぅ、お疲れ様です。」
ジョンが済まなそうに頭を下げる。

「まぁ、いいにゃ。この前の戦争で頑張ってくれた分とアイスで許してやるにゃ♪」
「あいす~、アイス~~、アイスだにゃ~~~♪♪」
「分かりました、アイスが欲しかったんですね?」
苦笑しながら、思う。いや~~~猫は可愛いなぁぁぁ~~♪

「では、買ってきましょう。」
ジョンは近くにあった売店へと走った。

        =***=

「この遺跡がいつできたかは、私達にもよく分かってないにゃ。」
小さな舌でアイスをぺろぺろと舐めながら、遺跡の説明をしてくれた。

「少なくとも、フィーブル藩国がこの地にできる前にはあったようだにゃ。」
「先史時代って奴にゃ。文献には出てこないからにゃ~。」
「これからの詳しい調査に期待っ!だにゃ♪」

”うんうん、語尾ににゃーは良い。実に良い♪”
話は右から左へと抜けて行く。しかし、満足である。

「ちゃんと聞いてるのかにゃ?」
「あ、ああ大丈夫ですよ。聞いてます。ここは、どんな場所だったんですか?」
我に返ったジョンは、宮廷猫士に尋ねた。

「ここは、都市があったようにゃ。特には危険はないにゃ~。」
「ただ、北の遺跡群は怖いにゃ。まだ調査が進んでなくて何がいるか分からないにゃ~。」
宮廷猫士達は震えだす。

「それって、アイスの食べすぎで体が冷えたんじゃないですか?」
「にゃっっ!そんなことないにゃっ!危ないのは嫌だにゃ!」
ちょっとした冗談にも反応を返してくれる・・・可愛いっ!

「はっはっは、可愛らしいな~もうっ!」
思わずジョンは猫士を抱きしめた。

「ぎにゃー!離すにゃーー!暑苦しいにゃー!セクハラにゃーー!」

        =***=

猫士達と別れた後、一人で遺跡を巡ることにした。
ゆっくりと遺跡を歩いて巡る。なかなかの規模の遺跡のようだ。

”ふむ、かなりの技術を持った人達だったみたいだな…”

石と石の間には剃刀ひとつ挟まらない程の正確性で積み重ねてある。

”それに、きちんと計画を立てて作られた都市みたいだし…”

大通りとそれと交差する通りが正確に碁盤の目をしているようだ。
計画的に作られた都市の証拠であろう。

”これだけの技術を持った人達はどこに行ってしまったんだろう…”

諸行無常の感を抱いてしまうジョンであった。

        =***=

「ただいま~っと。」
誰もいない、一人暮らしの部屋へと戻った。

遺跡を巡ったあとは、宮廷猫士の仕事を手伝う事になり、結局一日を過ごしてしまった。

”けど、うん、楽しい一日だった。”

シャワーを浴びて眠ることにしよう。また明日も散歩できると良いけど。

今日も、フィーブルは平和だった。

(文:ジョン=ウォーカー)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ジョン=ウォーカー
2007年01月30日 03:38
観光SS書いてみましたー。こんな感じで良いんでしょうか?
ご意見・ご感想等お待ちしてます。

SS上手くなりたいと思ってるので、色々ご指摘頂けたらと思います。
どぞ、よろしくお願いしますー。
フィーブル
2007年02月01日 01:55
やっと読む暇ができました(汗)

フィッシュフライなところとか文化を考えていて、良いと思います。
風景も思い描く事ができますし、私も余り人の事は言えないレベルなので、駄目だしするようなところは特にありません。

観光遺跡とかの名前は地図を描く際に適当に付けた識別名なので、ちゃんとしたものを決定してしまってかまいません。むしろ、付けちゃってください(笑)早い者勝ちです。
久織えにる(の中の人)
2007年02月03日 02:33
 こういった場に登場するのはキャラ的に合わないので中の人が出てきてますが、まあ気にせずに(笑)
遅ればせながら感想などを。

フィーブル藩国の雰囲気がよく出ていて個人的には好印象です。
心情描写もわかりやすいですし、登場する猫士がとてもかわいい。
そしてなにより、文章が読みやすい。

 蛇足ですが、SS上手くなりたいとのことですのでひとつアドバイスなどを。
こういったSSは小説のように形式が重要視されたり、細緻な描写が評価されるものではないと個人的には考えております。
これは読む人の文章に対する馴れ具合、時間、年齢、性別等がまちまちなためなのですが。
なので、難しいことは抜きにして面白くて読みやすければいいんじゃないかなぁと思う次第です。

 ジョンさんのSSには読み易さという大きな武器があると感じますので、いくつか数をこなしていけば面白さは自然と出てくるのではないでしょうか。
文章なんてものは書いた人の数、書かれた作品の数ほど面白さがあるものです。

 では、長くなりましたがこの辺りで。今後の作品も楽しみに期待しております。
ジョン=ウォーカー
2007年02月03日 10:18
ご意見、感想ありがとうございます♪
こうやってご意見いただけて嬉しい限りです!

今回のご意見を参考にして精進したいと思います。
どぞ、これからもよろしくお願いしますっ!

この記事へのトラックバック

  • ● 目次 ●

    Excerpt: ● 国立図書館 ● Weblog: フィーブル藩国/国立図書館 racked: 2007-02-06 21:04